はじめに

資材価格高騰は乗り越えたか

しかし、これらは本業の稼ぎである営業利益の「外」にあるもので、あくまで本業は回復してきていることが今回の決算で明確になっています。やはり典型例はトヨタです。ヘッドラインは純利益が前年同期に比べ18%減の1兆8990億円というものですが、中身を見ると悪くありません。たしかに4-12月期(3四半期累計)でみれば営業利益はまだ減益です。円安は10,450億円の増益効果があるものの、資材高騰の11,100億円のマイナスの影響が大きいためです。

しかし、4~12月期の売上高は18%増の27兆4640億円で同期間として過去最高を更新しました。営業利益は17%減の2兆980億円と、アナリスト予想の平均を示すQUICKコンセンサスの1兆9364億円を上回りました。しかも、この10―12月期でみれば、資材高騰の影響は、円安効果、原価改善の努力、営業面での努力によって吸収し、5四半期ぶりの増益を確保しました。資材価格高騰のいちばん厳しいところを乗り越えたということでしょう。

以上、見てきたように上場企業の業績は明るさが見えます。株式市場も冷静にこの事実を受け止めていると思います。16日に東証株価指数(TOPIX)は22年11月28日以来、およそ2カ月半ぶりに2000ポイントを回復しました。第3四半期の決算発表が一巡し、集計結果を吟味したうえでの2000ポイント回復は、そのことを示唆していると思われます。

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