はじめに

今年に入り、東証が開催している「市場区分の見直しに関するフォローアップ会議」の資料が話題を呼んでいます。

2023年1月10日(火)と1月25日(水)、両日の資料で中長期的な企業価値向上に向けた取り組みの動機付けと題し、上場会社の資本コストや株価・時価総額への意識改革やリテラシー向上を促し、改善に向けた取り組みを促進すると掲げました。具体策として、継続的にPBRが1倍を割れている会社には、開示を強く要請します。

実施時期は今年の春からとしており、早急に企業側にプレッシャーを与えたように感じます。


PBR1倍割れ企業が多い日本市場

ところで、「PBRとは?」と思われる方もいるでしょうから、簡単に説明します。

PBRとは、企業の帳簿上の解散価値が株主資本に対して、何倍に株価が評価されているかを示します。帳簿上の解散価値 (仮に会社が活動をやめて組織を解散し、資産を分けた場合に株主に分配される金額)に相当する1倍割れは割安と考えられます。

日本市場は、PBR1倍割れの企業がプライム市場の約半数という状況が長年続いています。そうした状況に今回、東証がメスを入れた形です。

日本市場の33セクターの内、下記の17業種がPBR1倍割れです。

1月25日(水)以降は、PBR1倍セクターの上昇が目立つようになっています。鉄鋼、海運業、銀行業、鉱業など、日替わりで値上がりする場合もあります。

TOPIX500採用銘柄で直近1ヵ月の上昇率を見ても、神戸製鋼所(5406)や日本製鉄(5401)、大同特殊陶(5471)などの鉄鋼株や、いよぎんHD(5830)、八十二銀行(8359)、九州FG(7180)などの地銀株、川崎汽船(9107)、日本郵船(9101)など海運株の値上がりが目立ちます。いずれも低PBRの銘柄として人気を集めているように感じます。

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