はじめに

フリーランス・事業主になるには?(開業届)

働き方改革で、副業を認める企業も増えてきました。この春から「副業を始めてみよう」「会社を辞めて自営業をはじめよう」と考えている方もいらっしゃるのではないでしょうか?

副業など自分で独自の売り上げをあげて収入を得る場合、1〜12月の儲けが20万円を超えると、必ず確定申告が必要になります。この時、副業などの収入は「給与所得」とは別の区分で集計する必要があり、「事業所得」または「雑所得」といういずれかで申告することになります。

事業所得と雑所得の違いは、収入の頻度や規模で決まります。年に数回しか収入が計上されない場合は、「その他の所得」という意味で「雑所得」で申告しますが、毎月計上的に収入が計上されるのなら、一定の条件を満たすと「事業所得」という区分で申告ができます。

個人事業主として「事業所得」を申告するためには、下記を満たすと事業主としていろいろな税金の優遇があります。

・税務署に「開業届」を出す
・事業を継続的にずっと行っている
・帳簿をつける

例えば、経費をたくさん使ってしまい、入ってきた収入よりも出ていった経費の方が多い時は、所得(儲け)がマイナスになります。「事業所得」の場合、このマイナスを給与などの所得(儲け)から引いてくれます。一方、「雑所得」ならマイナスはゼロとして計算します。

開業届を提出したら「あなたは青? 白?」(青色申告)

開業届を出し「事業主です」と名乗るようになったとしても、さらに2種類の事業主に分かれます。ちゃんとした帳簿をつけて税を安くしてもらえる「青色申告」ができる方と、ざっくり帳簿で優遇を受けられない「白色申告」をする方です。

青色申告は「複式簿記」という、しっかりした帳簿をつけることとあわせて、事前の申請が要件です。これらをクリアすれば65万円控除があるなどお得な税制を活用して節税ができるのです。

もし、令和5年分から青色申告を行いたければ令和5年の3月15日(水)までに申請を出す、また新たに開業した方は開業日から2ヵ月以内に提出しなければ優遇を受けられません。この春を機に、新しい事業を始めるだけでなく、起業や副業にまつわるお金の勉強もあわせてしておくと、お金の貯め方がさらに充実すると思います。

副業と税金の関係については、以前解説した記事もをご覧ください。

退職してフリーランスになったら

会社を退職すると、社会保険の切り替えや、失業保険の申請など色々な手続きが必要になります。

社会保険の手続きは早めにしておかなければ、健康保険証のない期間ができてしまい、不安になるだけでなく、途切れていた期間はさかのぼって請求されますので、手続きを何ヵ月も後ですると、一気に数ヵ月分の健康保険料などを請求されて、金額が大きくなって大変です。

会社の任意保険に入る場合や、国民健康保険に入る場合など、手続きする場所が異なります。退職前に必ず、いつどこに何を持って手続きにいけばいいのか、会社に確認しておきましょう。

フリーランスとして継続的に活動し、収入を得られるようになるのであれば、前述の副業でもお話しした「開業届」を出して、しっかり帳簿をつけて事業主としての申告に備えていきましょう。青色申告も検討して、節税の対策もしっかりしていただくとよいでしょう。

また、退職後すぐにフリーランスに転身する予定の場合、失業保険の受給を受けることができません。時々「フリーランスになる予定でも、開業届は失業保険の受給を受けた後に出すべき」などという情報も見かけますが、失業保険の支給を受けられるのは、「失業の状態にある方」とされています。

この「失業の状態」とは、「就職しようとする積極的な意思があり、いつでも就職できる能力があるにもかかわらず、本人やハローワークの努力によっても、職業に就くことができない」(※)という状態を指しているので、開業予定で準備している方は、対象外とされています。
※引用:ハローワーク「よくあるご質問(雇用保険について)」より

ルールを破って給付を受けると、後で返還を求められ、「なんて……嘆かわしい!」ですね。正しいルールに基づいて、条件を満たした場合には給付を受けましょう。

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