はじめに
もう一つの指標「NT倍率」
証券用語でもう一つ、NT倍率という指標があります。
以前、この連載でも解説しましたが、NT倍率とは日経平均株価をTOPIXで割った数値のことで、2つの指数の相対的な強さを表します。両指数の頭文字(日経平均株価はN、TOPIXはT)から「NT倍率」と呼ばれ、最近の標準は12倍から14倍程度となっています。日経平均株価の上昇率の方がTOPIXの上昇率よりも高いときにNT倍率は高くなり、日経平均株価の上昇率がTOPIXの上昇率よりも低いときにNT倍率は低くなります。
日経平均株価とは、日本経済新聞社がプライム市場に上場する約2,000銘柄のうちから、市場流動性(売買の活発さや安定度など)の高い225銘柄を選定し、その株価をもとに算出する指数です。一方TOPIXとは日本の株式市場を広範に網羅するとともに、投資対象としての機能性を有するマーケット・ベンチマークです。
NT倍率が高い時は輸出関連やハイテクなどの株価の高い銘柄(値がさ株)が上昇しやすい傾向があり、逆にNT倍率が低い時には銀行・電力・不動産・外食・建設・倉庫・小売などの内需関連が上昇しやすい傾向があります。日本市場は海外投資家の影響で日経平均先物に連動する為、相場の上昇局面ではTOPIXより日経平均株価の方が早く上昇しやすいです。
セミナーなどで日経平均は上昇しているが、持ち株は全く上がっていないとの質問を聞きます。それは、日経平均とTOPIXで構成銘柄などが違う為です。騰落レシオやNT倍率から全体相場の雰囲気を知る事をオススメします。
相場の世界は常々変化の繰り返しで、暴落時など過去と酷似している状況に出くわしても、再度同じ相場になるとは限りません。3月10日(金)に突然耳に入った米国のシリコンバレー銀行の金融破綻は、正に前代未聞のスピードで起こり、今後のマーケットへの影響は未だ推し量ることはできません。30年間株式相場を見続けている私でも、このスピードでの破綻は経験した事がありません。
少しでもリスクを減らして相場に向かうには、あらゆるニュースや指標に目を配り、真摯に向き合うことが一番の近道だと個人的には思っています。