はじめに
2024年から拡充するNISA制度
前記の試算からすると、貯蓄をする余裕はほとんどないようです。ご相談者さんもこの点が気になっているのではないでしょうか。
また、2024年から新しいNISA制度がスタートする予定となっていますが、そちらも気になっているようですね。
2024年からNISA制度は、大幅に拡充されます。制度は恒久化され、非課税期間も無期限に。投資できる年間の上限金額も成長投資枠で年間240万円、つみたて投資枠で年間120万円になる予定です。新しいNISA制度では、成長投資枠、つみたて投資枠の両制度の併用もできますので、最大で年間360万円まで非課税で投資することができます。
新しいNISA制度は、一般の方が資産形成をする上ではぜひ活用していただきたい制度です。とはいえ、ご相談者さんが無収入である2年間は、家計に余裕がないので、投資をするとなると、現在の貯蓄から資金を捻出することになりそうですね。そこで、現在の貯蓄からどれくらいの金額を投資に回せるのかを把握することが大切です。
投資に回せる資金を把握するために、目的別にお金を分ける
どれくらいの金額を投資に回せるのかを把握するためには、お金を目的別に分けて考えることが必要です。
まず、お金を「日々出入りするお金」「3〜5年以内に使い道が決まっているお金」「10年以上使わない将来のためのお金」に分けてみましょう。
日々出入りするお金とは、もしもの場合に備えるお金や日常生活費です。もしもの場合に備えて、生活費の6カ月〜1年分は確保しておきましょう。生活費の1年分の貯蓄があると、急な病気やケガで働けなくなったり、リストラや転職など人生の転機が起こったりしてもあわてなくてすみます。ご相談者さんの場合、生活費の1年分以上の貯蓄ができているので安心ですね。
それぞれの分け方は?
「日々出入りするお金」は出し入れしやすい普通預金口座で貯めておくとよいでしょう。
次に、車の買い替えなど、「3〜5年以内に使い道が決まっているお金」についてです。実際に使うのは3〜5年後なので、使うまでに時間はありますが、使う時に元本が割れていると困りますから、普通預金よりも少し利回りがよく安全性が高いという視点で金融商品を探しましょう。定期預金や個人向け国債、個人向け社債などが選択肢としてあげられるでしょう。
教育資金や老後資金など、「10年以上使わない将来のためのお金」は、使うまでに時間の余裕があるので、元本が割れる可能性はあるけれど、大きく増える可能性がある投資商品で運用すると良いでしょう。
つまり、全体の貯蓄額から「日々出入りするお金」と「3年〜5年以内に使い道が決まっているお金」を差し引くと投資に回せる金額が見えてきます。