はじめに
頻繁にアップデートされる「エコカー減税」
山田:さて、話を戻しましょう。自動車にかかる税金は、購入時には「環境性能割」と「自動車重量税」、「消費税」の3つ。継続所有、つまり車検の時にかかる税金が「自動車税種別割」と「自動車重量税」の2つ。これに、「ガソリン税」を入れると、全部で6つになります。もちろん、ガソリンを入れる時にも消費税はかかります。
三輪:税金については、よく「二重課税」が問題として提起されるケースがありますけど、いくらなんでもかかりすぎですよね。延滞してしまうと、利息も高いイメージがありますし。
山田:延滞した時にかかる利息は、納付期限から1ヵ月までは年率換算で2.4%、1ヵ月以上だと8.7%ですね。いずれにしても、これらの税金はクルマを購入、あるいは所有するために支払わないといけない税金なので、早めに支払うのに越したことはありません。
有野:そうなると、「シェアリングカーのが良いや」ってなって、ますます買わなくなると思うなぁ。自動車は、なんでこんなに税金の種類が多いんですか?
山田:自動車税は、日本の高度成長期に道路や橋などのインフラを整備するための財源として設けられました。税金というのは、新しく設けられることはあっても、なくなることはほぼありません。そのため、インフラ整備が終わった後も、そのまま残っている形ですね。
三輪:しかも、いま自動車税は、インフラ整備のためというように目的が決まった「特定財源」ではなく、なんにでも使える「一般財源」なんですよね。
山田:おっしゃる通りです。そんなこともあって、自動車業界からは自動車関連の多くの税金について、以前から改正を求める声が強かったです。そこで昨今では、自動車の排ガスに対する環境への負荷が問題視されていることもあって、環境性能が高いクルマに関しては、税金を引き下げる方向に進んでいます
有野:あ、それが「エコカー減税」ってやつですね。エコカーって静かで環境にいいのもわかるけどなぁ。旧車好きの人にとっては、エンジン音て大事やねんなー。ガソリン代もたくさん払ってるし、維持費もかかるのに、世知辛いよなぁ……。
山田:自動車重量税に対しては「エコカー減税」で、自動車税(種別割)には「グリーン化特例」という、要は燃費のいいクルマへの減税制度が設けられています。実は、エコカー減税は2009年に始まった減税制度なのですが、その後も延長に次ぐ延長が行われ、昨年、2022年12月には2026年まで延長されることが決まりました。「グリーン化特例」も同じく2026年まで適用されることになっています。
有野:「減税」とか「特例」とか、めちゃくちゃエコカーを買わせようとしてますよね。でも、エコカーは普通のガソリン車と比べて割高なイメージがあるなぁ。
三輪:法律の世界でも毎年のように細かい改正はありますが、自動車関連の税金に関しても、キャッチアップするのが大変そうですね。
有野:法律の世界でもって、弁護士さんみたいやなぁ……あ、そういえば三輪さんは弁護士さんやったわ。いつも忘れてまう(笑)
三輪:いい加減、覚えてくださいよ(笑)
山田:エコカー減税は2024年から適用基準が段階的に厳格化されるのですが、自動車に関連する税金の制度は毎年のように変わるので、税理士も日々アップデートしないと追い付かないのが現状ですね。正直なところ、「エコカー減税とグリーン化特例について、全て把握している税理士ゼロ人説」すらあります(笑)
有野:そんな説あるんや! ひゃ〜、そんなややこしいんや!
三輪:それじゃあ、売る側のカーディーラーさんも制度を把握するの大変でしょうね……。
有野:買う方も、知らんと損しそうで嫌やけど、自分で調べるのもどう調べたらいいのか分からんしな。「若者のクルマ離れ」って言われる原因の一つがこういう事なんかもな。