はじめに

相続土地国庫帰属制度を利用する際に気をつけるべきポイント

この申請にあたっては、考えておくべきポイントが幾つかあります。

【申請時のポイント】
(1)引取NGの条件をよく調べておく
(2)現地写真を添付する必要がある
(3)コストを意識するか、手間を意識するか

ひとつずつ細かく見ていきましょう。

(1)引取NGの条件をよく調べておく
前述のとおり、この制度はあらゆる不動産を引き取る制度ではありません。例えば、建物はNG対象となるため、空き家の実家を申請するような場合は、予め自費で解体をしておく必要があり、その分だけ費用が膨らみます。

また、境界が無い場合にもNGとされる場合があるため、その土地によっては、測量や隣地との境界確定が必要になる場合もあります。「審査手数料と負担金の納付だけで済むと思っていたら、結果的にとんでもない支出になってしまった」という可能性もあり得ますので、念入りに引取条件や費用等を見積もっておくようにしましょう。

(2)現地写真を添付する必要がある
申請時には、現地写真を添付する必要があります。対象不動産が近所であればいいですが、もしも遠方の場合、撮影のために、わざわざ足を運ぶ必要が出てきます。

申請前に、一度は足を運ぶ計画を練るか、これが難しければ、申請手続きを含め、地元の司法書士や行政書士など、専門家に依頼することも念頭に検討しましょう。

(3)コストを意識するか、手間を意識するか
この制度の申請には、作成書類や取得書類がそれなりに多く、現地写真を添付する必要があるなど、結構な重労働になります。

もちろん、自力でそれらを済ませれば、審査手数料や負担金の実費など、最も安く抑えられます。しかし、書類の不備で出し直しが生じたり、仕事の休みをやりくりしながら、書類を集めたり申請をしたりといった負担を考えると、専門家に依頼することも有効でしょう。

引取業者に依頼するのも一案

最近は、この制度と同様のサービス形態をとる、引取業者と呼ばれる会社も増えてきています。負担金を支払うことで、その会社が引き取ってくれるのです。なかには、国に引き取ってもらう場合の負担金よりも少ない支出で引き取って貰えるケースもあるようですので、一度検討してみる価値はあるでしょう。

ただし、業界として認知度がまだ低いこともあり、なかには詐欺まがいの会社が紛れているとして、消費者庁から注意喚起も出されています。負担金額もさることながら、契約内容にリスクがないか、慎重に確認しながら検討しましょう。

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