はじめに

投資家の動向がわかる信用倍率

信用取引の「買い残」「売り残」とは、信用取引の残高のことで、信用で買っている投資家の買いを「買い残」、売っている投資家の売りを「売り残」といいます。「買い残」と「売り残」を総称して『信用残高』といいます。また信用倍率とは、週に1度、東京証券取引所から発表される信用残高(信用買い残と信用売り残の比率)のことで、信用取引における買い方と売り方の状況を確認できます。信用倍率の計算方法は 「買い残 ÷ 売り残 = 信用倍率」と、買い残から売り残を割ることで求められます。

信用倍率から、市場が「信用買い」と「信用売り」のどちらに傾いているのかを読み取ることができます。

基準値は「1」で、1よりも数値が大きい場合は買い残が売り残よりも多く(買っている人の方が多い)、数値が1未満であれば、売り残が買い残よりも多い(空売りしている人の方が多い)ことを表しています。また、基準値である1を大きく上回っている場合、その銘柄は上昇方向に過熱感を持っていると解釈されます。

信用倍率が高い(買い残が多い = 買っている人が多い)ときは近い将来、株価が上昇すると予測している投資家が多いということになります。反対に、信用倍率が低い(売り残が多い = 空売りしている人が多い)ときは近い将来、株価が下落すると予測している投資家が多いことを意味します。

このように信用倍率を見ることで、多くの投資家の動向を知ることができます。ただし、信用倍率があまりに一方向に傾いた場合は、株価が反対に動く場合も多々あります。「目立った悪材料がないのに株価が下落している」などといった状況は、信用買いの決済(売り)が要因になっているかもしれません。

現物取引のみで行っている方も、日頃から信用倍率を見る癖をつけておいた方がよいと思います。気になっている銘柄や保有している銘柄の買い残・売り残が大幅に変化したら、どのような理由で増加や減少したのかを調べたり、推測してみることもおすすめです。

また、その都度気づいた事をノートなどに書きとめておくと、後々見返した時に役立ちます。その時は答えが分からなくても、未来に回答があるかもしれません。株の楽しさはこんなところにもあります。

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