はじめに
政府は6月中に策定する経済財政運営と改革の基本方針に、退職所得を計算する際の勤続年数による税優遇格差を是正する方針を盛り込むとされています。これが決まればiDeCo加入者にとっては大きなデメリットとなりえますので解説します。
iDeCoの受け取り方
税制優遇がある資産運用の仕組みの代表例としてiDeCoとNISAがありますが、実際それぞれの特徴は異なります。特に運用益に対し税金がかからないという表現については、注意が必要です。
NISAについては、運用益非課税という表現は妥当です。いつ売却しても、NISA口座で生まれた利益については課税されません。これは、新NISAになっても同様です。
しかし、企業型DCであっても個人型のiDeCoであっても確定拠出年金では、この口座で生まれた利益について、運用期間中は課税がされませんが、その運用益は繰り延べられ受け取りの際に課税されます。
ただそれでも、退職所得控除や公的年金等控除という有利な税制が選択できるので、結果的に税金を引かれることなく、確定拠出年金で築いた財産を受け取れたケースが多かったともいえます。
iDeCoの受け取り方法は3種類あります。
・一括で受け取る
・分割で受け取る
・一括と分割を併用する
この時、一括部分については「退職所得控除」が適用され、分割部分には「公的年金等控除」が適用されます。控除というのは「差し引く」という意味です。ここでは課税対象から差し引く、つまり課税対象から外すという意味です。従って控除の額が大きくなればその分税金が減り、iDeCo加入者にとってはメリットが大きくなります。
今回変更が検討されているのは「退職所得控除」ですので、以後は退職所得控除にフォーカスを当てて解説をします。