はじめに

表面的な金利だけでの判断は危険

住宅ローンの 借り換えの場合、ネットで目にするのは変動金利だと低いところで0.3%前後。借入金額が大きいだけに、少しの金利差でも総支払額にかなりの差が出るのでは!?と感じられている方も多いでしょう。

ネット上で大きく表示されている数値は、あくまでもすべての条件を満たした場合に適応される金利です。金融機関によっては「グループ企業の○○サービスを契約したら」「○○サービスの利用者が対象」など、特定のサービス利用を条件としている場合があります。もともと自分が利用していたり、メリットがあったりするサービスならいいですが、金利の優遇を受けるためだけに余計なサービスは利用したくありませんよね。

さらに、団信やがん団信をつけるためには0.1%から0.3%程度の上乗せ金利が必要となります。自分の希望に合う条件にしようとすると、表示されている金利より高くなる場合が多いです。

相談者のケースでも、がん団信をつけた場合、現在組んでいる住宅ローンの金利と借り換え後の金利では大きな差ではなくなりました。

さらに、借り換えをすることにより発生する費用もあります。借り換え先の金融機関においては必ず手数料がかかり、この費用が削減効果を薄めてしまいます。また、もともと借りている住宅ローンを返済する際に費用がかかる金融機関もありますので、事前の確認が必要です。

借り換えを検討する前にやること

ネット上では実際に借り換えをした際のシミュレーションが誰でもできるようになっています。今お持ちの住宅ローンを借り換えた場合にどうなるか?が気になっている方は、まず借り換えシミュレーションをしてみることをお勧めします。

シミュレーションには、借り換え先の候補となる金融機関のサイトで提供されているシミュレーターを利用しました。入力の際には、現在の住宅ローンと同様に、がん団信をつけた場合に適応される金利を選択、現在の住宅ローンの残りの返済期間を借り換え後の借入期間として設定します。

相談者様のケースでは、トータルで軽減できる返済額は約150万円というシミュレーション結果でした。

少しでも減らせるなら借り換えをした方がいいのでは、と思われるかもしれませんが、住宅ローンの借り換えを行うためには借り換え先の選定、シミュレーション、審査の申し込みなど、かかる時間と労力の負担は小さくありません。労力をかけても審査に通らなかった、というケースも想定されます。

借り換えを行うことが、想定される削減金額に見合うかどうか、ご家族でよく話し合われてから進めたほうがいいでしょう。相談者も、借り換えのためにかかる時間や手数料、前述した団信やがん団信をつけるための上乗せ金利が必要となること、またがん団信自体をつけられない可能性があり、その場合は保険の見直しも必要となってくることなど、労力と軽減できる費用を考慮したところ、借り換えを選択されませんでした。

もともとの金利が1%未満と比較的好条件であり、借り換えをするメリットが薄かった、というケースではありますが、ネットでより低い金利を目にすると、変えた方がいいのではないか、と思いますよね。やはり具体的なシミュレーションをすることで、ご家庭に合った判断が冷静にできるようになるのではないでしょうか。

もちろん、高い金利で住宅ローンを組まれている方で、まだ返済期間も長い方など、借り換えのメリットが大きいケースもあります。その場合は先送りにせず、早めに行動に移された方がより効果を得ることができます。そして、借り換えだけが住宅ローンの返済額を削減できる方法ではありません。適切なタイミングと金額で繰り上げ返済を行うことで、同様の削減効果を得ることができます。

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