はじめに

マイナンバーカードをすでにお持ちの方も多いと思います。しかし、マイナンバーカードを健康保険証「マイナ保険証」として使ったことのある方は、まだ少数派かもしれません。そこで今回は、マイナ保険証のしくみとマイナ保険証を使うメリット、そしてマイナ保険証を使う手続きを紹介します。


マイナンバーカードが保険証代わりになる「マイナ保険証」

マイナンバーカードは、国民一人ひとりに割り振られた個人番号(マイナンバー)を証明できるカード。マイナンバーカードを利用すれば、各機関での本人確認が手早くできるほか、コンビニで住民票などが取れたり、確定申告が簡単になったり、行政手続きや年金の記録の確認ができたりします。

さらに、マイナンバーカードは、2021年10月から医療機関や薬局の窓口で保険証として利用できるようになっています。2022年に実施された「マイナポイント第2弾」では、マイナンバーカードを保険証として使えるように申し込むと7,500円分のマイナポイントをもらうことができました。ですから、すでに申し込みはしているという方も多いかもしれません。ただ、現行の保険証も引き続き利用できますので、「申し込みはしたけれど、使ったことはない」という方もいらっしゃるでしょう。

しかし、2023年6月に成立した改正マイナンバー法では、2024年秋に現行の健康保険証を廃止してマイナ保険証に一本化することを盛り込みました。現行の健康保険証は、マイナ保険証に移行後も最大で1年間は利用できる猶予期間が設けられる見込みなので、2025年秋ごろまでは利用できるものの、その後は使えなくなってしまいます。ですから、今のうちにマイナ保険証に切り替えておくと良いでしょう。

マイナ保険証を使う6つのメリット

現行の保険証をマイナ保険証に切り替えると、6つのメリットがあります。

●マイナ保険証のメリット1:医療費が安く済む
マイナ保険証を利用すると、現行の保険証よりも医療費が安く済みます。

実は、2022年10月までは、マイナ保険証よりも現行の保険証を利用したほうが初診・再診のときの診察費(診療報酬)が安く済んでいました。しかし、せっかくマイナ保険証に切り替えたのに、医療費が高くなってしまうのでは、誰も切り替えたくないですよね。そこで、2022年10月に診療報酬が改正され、マイナ保険証を利用したほうが安い診療報酬で済むようになったのです。

窓口負担3割の場合、診療報酬の加算額は、

【初診】マイナ保険証6円・現行の保険証12円(2023年4月から12月は18円)
【再診】マイナ保険証0円・現行の保険証0円(2023年4月から12月は6円)
【調剤】マイナ保険証3円・現行の保険証9円(2023年4月から12月は12円)

となっており、マイナ保険証を利用した方が安く済むことがわかります。しかも、2023年4月から12月までの間は、現行の保険証を利用した場合の診療報酬が上乗せされています。

もちろん、増額といっても、1回の金額はそれほど大きくありません。しかし、大きなケガや病気をしたなど医療機関で何度も診察を受ける場合や、高齢で持病の治療をしている場合など、医療機関を利用するほど差がついていきます。その点、マイナ保険証を利用していれば、そうした差を気にすることなく医療機関にかかることができます。

●マイナ保険証のメリット2:受付が簡単
マイナ保険証での受付は、マイナ保険証に対応した医療機関にあるカードリーダーにマイナ保険証を置くだけ。顔認証付きカードリーダーの場合、顔認証で受付が完了します。
顔認証に対応していない汎用カードリーダーの場合は、4桁の暗証番号を入力します。なお、マイナ保険証は受診のたびに持参し、本人確認を行う必要があります。

●マイナ保険証のメリット3:就職・転職・引越しをしても保険証として使える
就職・転職・引越しなどのとき、保険証の切り替えや更新が必要になる場合があります。保険証を切り替えている間に医療機関を利用したい場合には、一時的に費用を全額立て替えて、後から保険証を提示して返還してもらったり、「療養費」の請求をして払い戻してもらったりする手間がかかります。

しかし、マイナ保険証なら就職・転職・引越しなどがあってもそのままマイナ保険証を使い続けることができます。また、国民健康保険や後期高齢者医療制度を利用している場合も、保険証を更新する手間がなくなります。

●マイナ保険証のメリット4:医療費の確定申告が簡単
1年間に支払った医療費(家族の分を含めた合計)が一定額以上となった場合は、確定申告で「医療費控除」という手続きをすることで、所得税の還付が受けられます。

マイナ保険証を利用して支払った医療費の情報は、政府が運営するオンラインサービス「マイナポータル」から確認できます。さらに、マイナポータルと国税庁の「確定申告書等作成コーナー」を連携させることで、確定申告書に1年間の医療費を自動で入力できます。

マイナポータルの情報を利用して医療費控除をする場合、医療機関で受け取った領収書などを保管しておく必要もないので便利です。

●マイナ保険証のメリット5:健診や薬の情報も確認できる
マイナポータルでは、処方された薬の情報や特定健診の情報などをいつでもどこでも確認できます。また、患者が同意すれば医療機関や薬局などが薬や特定健診の情報を確認可能に。よりよい医療につながることが期待されています。

●マイナ保険証のメリット6:高額療養費制度・限度額適用認定の手続きが不要に
高額療養費制度は、1か月の医療費の自己負担額が一定額を超えた場合に、その超えた分が払い戻される制度。また、限度額適用認定の手続きをすると高額の医療費を立て替える必要をなくすことができます。

マイナ保険証を利用すれば、はじめから高額療養費・限度額適用認定を受けたのと同じ状態になるため、自動的に限度額を超える支払いが免除されます。

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