はじめに

日本の金融資産は約2000兆円あります。そのほぼ6割を60歳以上の人が保有しています。多くの資産を高齢者が持っているのがわかりますね。でも死んでしまったら、その資産は相続財産になります。

MUFG資産形成研究所の「退職前後世代が経験した資産承継に関する実態調査(2020年)」のデータによると、親から相続した平均金額は3273万円です。中央値では1600万円です。つまり、老後には2000万円以上必要だと言われている一方で、2000万円近く残している人が多いのです。もしかすると2000万円貯めたものの、「減るのが恐くて使えなかった」ということもあるのではないでしょうか。

「死ぬまでに、自分のお金は全部使い切る」のが理想ですが、これがなかなか難しいのです。今回は、「死ぬまでに自分のお金を使い切る」という難題に挑戦してみようと思います。


自分が死んだら、自分のお金はどうなるのか?

ご自身の資産について考えたことがありますでしょうか? 一般的には、法定相続人である配偶者や子どもたちが相続することになります。ただ、兄弟の仲が悪いとか、子どもたちとは絶縁状態にある場合には、相続がスムーズに進まない場合もあります。

もし、子どものいないご夫婦の場合は、配偶者が相続をすることになります(他に相続人がいると分配になります)。その配偶者も最後は1人になります。そして、同じように誰かがその資産を受け継ぐことになります。

万が一、配偶者・子・親・兄弟などの身寄りがまったくない遺産は、どうなるのかというと、最終的に国庫に入ります。これは、すぐに国に納められるのではなく、相続財産管理人が選出されて、1年程度の時間をかけて、最終的に国庫に入るのです。朝日新聞デジタルの記事によると、遺産相続人がいないなどの理由で国庫に入った財産額は、2021年度では647億円です。

死ぬ時がわからないから、恐くてお金が使えない

せっかく自分で貯めたお金ですので、自分のために使いたいです。それでも残った場合は、できれば人のために有意義に使ってほしい、と思いませんか。ちなみに、筆者の話をすると、子どもはいません。私が平均寿命まで生きていたとしたら、親は死んでいますし、兄弟も同じように高齢になっています。配偶者は生きているかもしれませんが、それもわかりません。

そもそも、生きている間に自分のために使ってしまうのが、一番良いでしょうが、ピッタリに使い切るのはとても難しい話です。おそらくムリだと思います。それは、いったいいつ死ぬのかわからないからです。そして、自分で死ぬ時期を決めることができないからです。死ぬ時がわかっていれば、資産をゼロにすることができます。そう考えると、死ぬ時に資産をゼロにするわけにいかなくとも、徐々に減らしていくとか、一定のお金をプールしておく方法がいいと思います。

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