はじめに

NISAは新旧で別物

新しいNISAが始まるタイミングから投資デビューをしようと考えている方は多いのですが、来年までまだ時間があるから投資の勉強を始めておこうという方もいます。そして、勉強を始めて早々に浮かび上がる疑問点は、「わざわざ来年まで待つ必要があるのだろうか」というものです。実際に私のもとに同様の質問は多く寄せられます。

来年から始まる「新しいNISA」は時には「新NISA」と呼ばれることもありますが、実は現行のNISAとは全く別物であると考えるべきです。つまり、何が言いたいのかというと、新しいNISAでは非課税保有限度額は1,800万円(うち成長投資枠が1,200万円)となっていますが、たとえば現行の「つみたてNISA」を今年の間に始めれば、新しいNISAとは別枠で40万円分の非課税投資枠を手に入れることができるのです。

もちろん、これは今年から絶対にやりましょう、という話ではありません。先程も紹介した通り、投資は強制されてやるようなものではありません。しかし、どうせ始めるのであれば、多めに非課税投資枠を手に入れるのはお得ですよね、という提案です。

ちなみに、投資未経験者は投資に関係する税制に詳しくないと思いますので付け加えておきましょう。投資をして得た利益は基本的に所得税15%と住民税5%のあわせて20%の税金がかかるのですが、2037年12月末まではさらに復興特別所得税が加わり、合計20.315%の税金がかかります。NISA口座で買い付けた場合は、この税金がかからないので、利益が丸々手元に残るのです。

インフルエンサーに注意

新しいNISAについて情報収集をしている方も多いと思いますが、最近はTwitterなどのSNSやYouTubeなどの動画で情報収集するスタイルが一般的になっているように思います。手軽に情報を集めることができる一方で、情報があまりにも多く、何を信じればいいのか分からなくなってしまいます。そこで、多くの投資家から支持を得ているインフルエンサーの発言に注目している方も多いことでしょう。しかし、新しいNISAについて、違和感を覚える発言をしているインフルエンサーもいました。

新しいNISAでは年間投資上限額として、つみたて投資枠が120万円、成長投資枠が240万円あり、1年間で最大360万円投資をすることができます。非課税保有限度額は前述の通り1,800万円ですから、最短で5年でこの枠を使い切ることができますが、あるインフルエンサーはその手法を推していました。

しかし、前述の「基本に忠実」という観点からすれば、自分の非課税投資枠を5年間で使い切るということは、時間の分散をそれほどしないことを意味します。20年、30年とつみたて続けて投資タイミングを分散するのではなく、最初の5年間に全てのタイミングを掛けてしまうわけです。仮に30年のうち最初の5年、株式市場が軟調であればいいですが、最初の5年が好調で、その後の25年間は軟調な展開が続くとなれば、投資資産は損を抱えたままになってしまいます。

インフルエンサーの発言を参考にするのはいいのですが、鵜呑みにする前に自分の頭でも考える習慣を身につけましょう。

この記事の感想を教えてください。