はじめに
50代後半からでも資産運用を開始するメリット
今回の相談者は、今後大きなアクシデントがなければ、現状のままでも特に問題なくセカンドライフを送ることができそうでした。しかし、ご自身が将来老人ホームに入る可能性や今後のインフレの加速具合、介護になった場合などを考えると、十分すぎるとは言い切れない面も考えられます。
相談者はこれまで投資経験がありませんでしたが、投資を始める選択肢もご提案しました。相談者は現在、パートで働いてはいるものの、持病があり健康上の不安を抱えています。投資を始めとした資産形成には、自分が働かなくてもお金が働いてくれるというメリットがあります。
年齢的に今さら資産運用しても、というお気持ちもあったようでしたが、現代は女性の半分以上が90歳まで生きると言われています。50代後半~60代で資産形成を始めても、平均余命まで20年超あれば長期・積立・分散投資の様な、リスクを抑えた運用も可能です。
例えば来年から毎月5万円を積立投資にまわし、年3%の複利で計算すると、預貯金で置いておく場合と比べて80歳の時点で500万円以上の差がつく計算になります。来年から新NISAも始まりますので、制度を上手に利用することで、余裕を持ったセカンドライフを送れる可能性が広がりますね。
相談者は当初、不安と不満でいっぱいだった様子でしたが、ライフプランを作成したことで思っていた以上に余裕のある生活を送れることがわかり、「夫と話し合って資産運用も開始したい」と前向きな気持ちになれたようです。また、最後には「毎朝の夫の弁当作りも苦にならなくなりそう」と、笑顔で話していたのが印象的でした。
経済的に余裕を持ったセカンドライフだけでなく、夫婦円満のためにも老後にどのくらいの収入があって、どのくらいのお金が必要なのか、公的な保障も含めて早めに把握しておくことをおすすめします。
【監修】伊達有希子/ファイナンシャルプランナー(CFP、1級FP技能士)