はじめに

インターネット通販におけるトラブルで最近話題になっているのは、ホテルの予約サイトから予約をすると、架空のホテルの予約だった、というケースでしょうか。この他にも、頼んだ商品が届かない、届いた商品が故障している、汚れている、といったトラブルも以前から起きている問題ではないかと思います。

今回は、インターネット通販におけるトラブルについて、弁護士の観点からお伝えしていきます。


契約関係の違いにある法的意味

まず初歩的な話ですが、通販サイトとの契約関係の説明から始めたいと思います。通販サイトには、(1)販売会社が直接運営している通販サイトと、(2)販売会社がインターネット上のスペースを借りるような形式のものがあります。

この形式の違いは、法的にどういう意味をもつのでしょうか。

(1)の場合、消費者は販売会社Aのサイトを見て、販売会社Aの商品を購入しているので、販売会社Aとの間で売買契約が成立しています。一方、(2)の場合は通販サイトBの規約等によっても変わってきますので、全て同じ仕組みとは言えませんが、多くのサイトの構造として、通販サイトBと消費者の間で売買契約が成立するのではなく、 販売会社Cや販売会社Dと消費者の間で売買契約が成立することになります。

結局(1)の場合でも(2)の場合でも、各販売会社と消費者の間で契約が成立しており、同じ法律関係ということになりますが、消費者の立場から考えると、ちょっとした違いがあります。例えば、販売会社Aのオンラインストアを見て商品を購入し、届いた商品が不良品だった場合、商品を売っていた販売会社Aに、不良品なので返品をしたいとか、商品を交換して欲しいという、責任追及の連絡をするのではないでしょうか。

では、通販サイトBを見て気に入った商品を購入して、同じように不良品が届いた場合はどうでしょうか? 消費者の目線からすると、通販サイトBで購入しているのだから、通販サイトBに責任追及できるだろう、と考える方も多いようです。これは、消費者が通販サイトBに対して有している「信用」ということができます。

もちろん、通販サイトによっては、通販サイトBにお問い合わせフォーマットがあって、返品などの対応をしてもらえるようになっている場合もあります。しかし実際には、通販サイトBでは対応できないので、販売会社と直接やりとりをしてください、となっている通販サイトが相当数あることにご注意ください。

つまり、通販サイトBを信頼して購入していても、通販サイトBは問題発生時になんの責任も負わないという規約になっていることが多いということです。消費者が、通販サイトBを利用するときに抱いた信用は、空中に浮いたままになってしまいます。

販売会社と直接やりとりをするのであれば、結局、販売会社のオンラインストアを使った場合とかわりがないのではないか、と思われるかもしれません。確かに、その点はそうなのですが、自分の会社で公式のオンラインストアを持たず、通販サイトだけを利用しているような業者の中には、残念ながら悪質な業者も多く、商品が届いた後に販売業者と連絡が取れなくなってしまう、というケースも多いです。

同じような問題は、中古品取引などを行っているサイトでも起きています。

売買契約は、出品者との間で成立しているので、中古品取引を行うために設けられた中古品取引サイト自体は責任を負わない、という利用規約になっていることが多いです。この場合も、利用者は中古品取引サイト自体に対して信頼を寄せて取引をしていることが多いですから、いざ問題が発生したときに、中古品取引サイトに向けていた信用が、空中に浮いたままになってしまいます。

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