はじめに

消費者の権利を実現する手立てがないケースも

販売業者などと連絡が取れなくなった際、弁護士に相談してくださる方がいます。しかし、業者の情報を調べて、然るべき書面を送付し、返金や商品の交換を要求しますが、真摯な対応を返してもらえるケースは少ないです。法律上は、詐欺や債務不履行にあたるので、返金や商品の交換をしてもらう権利が消費者にありますが、これを実現する手立てがない、というケースが多いのです。

消費者を守る法律はたくさん用意されていますが、販売元が国外の会社であったり、存在している先を突き止められなかったり、書類上は存在しているはずなのに連絡がつかないという場合、裁判をして勝ったとしても、消費者の権利を実現することができません。こういった事態を必ず防ぐための方法はありませんが、もしものとき、通販サイトが責任をとってくれる規約になっているか、事前に確認してみてください。

また、会社の公式サイトだと思っていたら、サイト自体が偽物だった、というようなケースもあります。消費者庁に詐欺サイトの見分け方が公開されているので、定期的に確認してみてください。

詐欺サイトの作りは、日々更新されていきますから、いつまでも同じ見分け方が使えるとは限りません。これまでは、不自然な翻訳で気づくことができましたが、最近は便利なAIシステムができていますから、翻訳の不自然さが解消される日も近いと思います。

販売されている商品が定価より不自然な程値引きされている、販売元の会社の情報を調べて代表者名・本店所在地・会社の連絡先が確認できない、代金の支払い方法が振込のみなどという場合には、(1)の場合でも(2)の場合でも要注意です。また、口コミサイトでサイト名を検索すると、予測変換に「詐欺」という表示が出てくることもあります。

インターネット通販は、サービスが出た当初は警戒している人も多かったと思いますが、現在ではすっかり生活になじみ、利用していない人の方が少ないと思います。利用になれてくると、規約などを確認せずに、安易にクレジットカード情報を入力して利用してしまっていることもあるかもしれません。

詐欺サイトは、単に商品が不良品とか届かないということで損をするだけでなく、登録したクレジットカード情報や、IDに利用しているメールアドレス、パスワードを盗まれているという不利益もあります。実は、この不利益のほうが二次被害につながり、怖いかもしれません。

騙す側の腕も日々上がっていきますから、自分の危険察知能力もそれに合わせて高めていく必要があります。私の同業者にも、中古品取引を利用して詐欺にあった経験がある方が居ます。

誰がいつ被害にあってもおかしくないほど巧妙になってきているという実態を踏まえて、信頼すべきサイトをしっかり見極めて利用してください。

※編注:初出時に誤字がありました。

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