はじめに
選択肢が増えることで、悩みも増える
人間は一般的に加齢とともに体力の低下や病気の発症が増え、卵子も老化して数も減っていき、年齢が増すほど妊娠が難しくなるのは、卵子の質の低下と数の減少が大きな要因との事です。母体の老化は止められませんが、若いうちに卵子凍結を行えば、妊娠しにくいなどのリスク回避もでき、また流産や染色体異常が起こる確率も同様の理由から低下するようです。
私の知り合いの女性で、不妊治療をしていた方がいらっしゃいます。結果的に出産には至らず、お子さんを諦めた状況です。仕事と体調のバランスをとることが難しく、「もう止めようかな」と、何度も思ったそうですが、クリニックで「元気な卵子が取れましたよ」と言われると嬉しくなり、治療を継続することにしたそうです。
割高なクリニックに通っていたため、金銭的な部分に対し納得してはいるものの、妊娠に至らない事に不満を募らせた事は、実際にあったと言っていました。その後、年齢的なリミットタイムと体調の辛さが一気に押し寄せてストップする状況に至りました。
昔から子どもが欲しかったのに仕事が忙しくやり甲斐も感じでいた為、結婚が遅れてしまいました。とにかく気持ちばかりが焦って、周りの人たちからのプレッシャーもあり、とても辛い時期だった、と過去を振り返えっていらっしゃいました。
ここ30年間で、女性の生き方は大きく変化を遂げました。専業主婦という言葉は消えつつあるのかもしれませんが、妊娠・出産が可能な年齢は変えることはできません。ちなみに先ほどの女性は現在、企業で管理職として活き活きと働き、現状はとても充実しているようです。
東京都の取り組みにより、妊娠・出産適齢期に当てはまる方々の選択肢は増えましたが、その分、迷いや悩みも多くなったと考えると、メリットばかりではないのかもしれません。横並びで答えが出る事ではないので、若いうちからこの様な制度を知り、心積りをしておくことが必要だと思いました。