はじめに

退職前と後では、お金の意味がガラッと変わります。お金のパラダイムシフトが起こるタイミングと言っていいでしょう。

退職前は、労働収入があるため、資産形成のステージです。ところが、定年後は、それまで蓄えた資産の取り崩しのステージです。実際に人生の中で60歳前後は、もっとも貯蓄額が多く、60歳以降は、老後資金を取り崩すようになって、お金が減っていきます。このお金のステージが「変わる」ことを、理解していないと老後破綻に繋がるのです。今回は、「定年から変わるお金のステージ」について解説をしてみます。


60代以降は、右肩下がりに収入はどんどん減っていく

60代になっても、70代になっても収入があまり変わらない人は、稀です。多くの方は60歳、とくに定年を迎えて、再雇用や再就職で収入が下がっていくケースが多いでしょう。そして再雇用も終わると、さらに収入は減ってしまい、企業年金も終わり、年金収入が中心の生活へと移行します。つまり、60歳以降は、段階的に収入が減っていきます。役職定年がある人は50代半ばから収入減がはじまります。それは「人的資本」が低下していくということです。

老後資金の取り崩しは2つのステージがある

60代以降の老後資金取り崩しのステージには、2段階あります。再雇用などで就労している期間と、それ以降の年金などの収入が中心になる期間です。まず第1段階の就労している期間は、老後資金の取り崩し額は少なく、給与収入などが多い場合には、貯蓄額を増やすことも可能です。就労期間を長くすることで、その後の資産寿命を延ばすことができます。しかし、第2段階の就労期間が終わり、おもな収入が年金だけになると、一気に取り崩し額は増えていきます。取り崩しのペースをうまくコントロールができないと、途中で老後資金が枯渇することになってしまいます。

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