はじめに

老後資産の取り崩しは、定率方式で取り崩した方がいい

登山に例えると資産形成は60歳で山頂に到着します。それ以降は下山である老後資産の取り崩しにあたります。山登りと同じで、資産の取り崩しである下山の方が難しいと表現しているのが、フィンウェル研究所代表の野尻哲史さんです。

野尻さんは、老後資産の活用方法として一定額の取り崩しよりも、「一定率の取り崩しを設定した方がゴールに到達しやすい」と解説をしています。つまり1000万円の老後資産があるとしたら、毎年100万円の定額を取り崩すのではなく、10%の定率を取り崩した方がいいと言うことです。たしかに、定率の場合は残高が減っていくとそれにあわせて取り崩し額も減っていきます。取り崩し額は減りますが、高齢になると使うお金も減っていくため、ある程度はバランスが取れるようになります。

取り崩しのルールを決める

定率や定額の取り崩し方のルールをしっかりと決めておくと老後のお金の心配は減ります。取り崩しのルールを決めるときは、まず現在の老後資産をしっかりと把握しておく必要があります。

定率の場合、老後資産がわかれば何%取り崩せば、毎月どのくらいの金額になるのかわかります。そして80歳のときでいくら、90歳のときでいくら、というように取り崩し額が計算できます。

定額で取り崩しの場合も同じです。老後資金の総額を、毎月取り崩す金額で割れば、何歳まで資金が持つのか簡単に計算できます。ここで重要なのは、老後資金を投資信託やETFなどで運用した方がいいということです。なぜ、投資信託やETFなどで運用をした方がいいのかというと、取り崩している期間も運用ができるので、元本割れのリスクはありますが、運用収益が得られる可能性があります。取り崩し期間は10年・20年と長い期間になるので、預金のままではもったいなく、またインフレになると逆に資産が減ってしまうからです。

老後の支出を抑えることも重要

老後資産の取り崩し方を説明してきましたが、もう一つ重要なことがあります。それは、支出を見直すことです。いくら取り崩し方を計画的にしても、支出の方が現役時代と同じだと、この計画は破綻します。収入よりも支出が多いとその分が赤字になります。

赤字分を埋めるための老後資金とはいえ、赤字額が多いとそれだけ取り崩し額も多くなります。たとえば、毎月20万円の赤字がでるとしたら、取り崩し額は年間240万円になります。定額での取り崩しを考えた場合は、65歳から95歳までとすると30年間で7200万円となり、かなりの老後資金が必要です。

老後の資金計画は、収支のバランスがとても大事です。取り崩し額と支出の計画の両方を考えていきましょう。

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