はじめに
「もらって嬉しい」優待を選ぼう
有野:株主優待、いいじゃないですか。化粧品か、食べ物か、文房具もあるし。家族と一緒に選ぶのも楽しそうですね。
三井:おっしゃる通りです。ご家族のコミュニケーションツールとしても、株主優待は優秀だと思いますよ。
有野:なんとなく、優待狙いが自分に合ってる気がしてきました! 業績とか調べようとすると面倒になってしまうし、「株式投資で大儲け狙ったる!」っていうより、「優待ライフを楽しんでます」くらいのほうが生々しくないですし、何より有野サンが可愛くうつる(笑)
三井:そういう側面はあるかもしれませんね(笑) ただ、優待狙いの投資をするなら、いくつか押さえたいポイントや注意点があります。
有野:おぉ、それは知っておきたい!
三井:まず、より“お得”な優待を狙うなら、優待品をお金に換算した場合の「優待利回り」をチェックしましょう。株式の配当金と合わせた「配当 + 優待利回り」が10%を超える銘柄も珍しくありません。
有野:えぇ、めっちゃお得やん。それにします!
三井:ただし、先ほどのお米券やQUOカードのような、お金に換算しやすいものならいいのですが、「お得だから」という理由で買ったとしても、自分が全く使わないものばかりでは意味がありません。優待利回りも大事ですが、基本的には自分や家族が実際に食べたり使ったりする、「もらってうれしい優待」を選ぶべきでしょう。
有野:確かに。「お父さん、すごい!」のために、いろんなテーマパークの優待もらっても、期限があったり、行けなかったりするかもしれへんなぁ。余らすのはもったい無いし、かといってロケの合間に一人でテーマパーク行くのも寂しいし、意味ないし。帰って「行ってきたで!」って言うても、父の評価は下がります(笑)
三井:あと、会社によっては保有する株数ごとに内容が変わる優待もあるので、「何株保有すると何がもらえるのか」は調べておいたほうがいいですね。また、「〇年保有」のように、長期で株を保有すると、優待の内容がグレードアップする会社もあります。買う前に、優待の内容や条件は、きちんと調べておくべきですね。
有野:なるほど! 長めのご贔屓さん、常連さんであるほど優待が手厚いのは好きですよ。長期が好きやし、だからどんなモノがもらえるかだけやなくて、そういうお得なのがあるんやったら、調べるのは楽しいです。そこ目指して頑張れる。
三井:それに「優待利回り」が高いからといって、株価が暴落して大きな損をしてしまっては、いくら長期投資が前提とはいえ、投資の意味が薄れるので要注意です。できれば、購入する前に簡単に業績をチェックしたり、チャートで株価の値動きを見たりしたほうが、損失を気にすることなく、より快適な「優待ライフ」を送れると思います。
有野:うわ、「来年からご贔屓さん優待になるぞ!」って時に、優待が無くなる可能性もあるのか。テンション上がってたけど、確かに1,000円の優待品もらえたとしても、株自体で10万円損したらキツイですもんね……。株主優待で何くれるかは大事やけど、会社の業績はもっと大事や。
三井:もう一つ、株主優待をもらうには、「株主の権利が確定する日」の2営業日前(権利付き最終日)までに購入しておく必要があるんです。3月決算企業なら3月下旬、12月決算企業なら12月下旬。その年によって、権利確定日は微妙に違ってくるので、「2023年 権利付き最終日」などで検索して調べておきましょう。ちなみに今年の12月の権利付き最終日は、2023年12月27日(水)です。
有野:その日を過ぎるともらえないわけですか?
三井:基本的にはその「権利付き最終日」を過ぎてしまうと、翌年度にならないともらえません。なかには1年に2回、配当や優待を出す企業もあるので、その場合には「半年後の権利付き最終日」にその株を持っていればもらえます。
有野:なるほど。一筋縄にはいかないということか……。
三井:少し専門用語が出てきましたが、要は「その会社の決算月の中旬頃までに株を買っておけばもらえる」ということですね。株主優待の人気が高い会社だと、「優待をもらう権利だけゲットして、すぐに株を売る」投資家もいるので、決算日を過ぎると株価が下がることもあります。ただ、優待狙いは長期投資向きなので、それこそ一喜一憂せず、優待ライフを楽しみながら投資を続けてほしいですね。
有野:いい言葉やねぇ、「優待ライフ」。やっぱり、優待狙いが僕には合ってそうですね。後輩とかに「有野さん、優待ライフってどんな感じなんですか?」って聞かれるのも、“投資をやってる人”って感じがして気持ちよさそうやし(笑)
次回(10月24日配信予定)は「投資する前に見るべきポイント」について聞いていきます。
投資管理もマネーフォワード MEで完結!複数の証券口座から配当・ポートフォリオを瞬時に見える化[by MoneyForward]
2時間目:よゐこ有野、【配当金】を狙う投資手法に困惑「負け犬に投資って…」
3時間目:株主優待はどう選ぶべき?よゐこ有野「自分に合ってる気がしてきた」
4時間目:【配当】や【株主優待】狙いでも情報収集は必要?よゐこ有野「そう言われると…」
有野晋哉
1972年2月25日生まれ。大阪府出身。テレビやラジオ、CM、雑誌の連載などマルチに活躍。コンビで公式YouTube「よゐこチャンネル」も開設しており、幅広い世代から支持を得ている。自身が50歳を迎えた2022年に、お金にまつわる知識の大切さに目覚め、日々勉強中。
三井 智映子絵
「美しすぎる金融アナリスト」として話題となり、全国各地で個人投資家向けセミナーやIRセミナーに登壇。投資教育をライフワークとしている。 ZAI、SPA、マイナビ、FX攻略.com、DIME、ワッグルなどメディア掲載、連載の実績も多数。IRセミナーの構成作家やプロデュースも手がける。著書に『最強アナリスト軍団に学ぶ ゼロからはじめる株式投資入門』(講談社)、『はじめての株価チャート1年生 上がる・下がるが面白いほどわかる本』 (アスカビジネス)がある。
ライター:新井奈央
※本記事は投資助言や個別の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資にあたっての最終決定はご自身の判断でお願いします。