はじめに
年収の高い女の人は恋愛が不利?
——では、彼女や妻が自分より稼いでいたりする場合、男性はどう思うのでしょうか。
気にしない人もいるし、妻に頼もしさを抱く人もいます。でもやはり、引け目を感じたり、嫉妬心を抱いたりする男性も依然として多い。以前に桃山商事の元へ相談に来た女性は、自分は大企業に勤務しているけど、年収の高い女性は敬遠されやすいという経験則を持っていて、出会いの場では自分の年収を低めに偽って伝えると言ってました。
>妻が自分より稼いでいたことを知りブチ切れたモラハラ夫
これは極端な例かもしれませんが、別の女性から聞いたエピソードはなかなかすごかった。彼女は同じ会社の先輩男性と結婚したのですが、実はモラハラ気味で、会社ではすごくいい先輩なのに、家では何かにつけて罵倒してくるというヤバイ人だったんです。
小さなことでプライドが傷つくらしく、ちょっと意見すると、3時間後ぐらいに「さっきのあれなんだけど……」とブチ切れたりするらしいんですよ。ときには深夜にいきなり起こされて説教が始まる、ということもあるみたいで。それで彼女は段々と家に帰るのがイヤになって、退勤後、夫が寝る時間まで近くのスーパーやファミレス時間を潰していたりしたそうです。
そんなある時、彼女が夜遅くに帰ったら、旦那が居間でワナワナしながら待っていたそうです。何事だろうと思ったら、机の上に彼女の給与明細が置いてあった。
それを見た夫は、彼女の給料のほうが多かったことに驚き、それで怒りに震えていた。二人は同じ会社なので、お互いの収入はある程度推測できたものの、それまで具体的な額面は共有していなかったそうですが、実際は彼女のほうが仕事ができ、残業なども多くしていたため、給料が多かった。明細を見て初めてそれを知った夫は、もうワナワナしすぎて、最後はいきなり「ゲェー!」って嘔吐してしまったらしいんですよ。なんかもう、尋常じゃないですよね……。
結局彼女は離婚したのですが、「男のほうが女よりも稼いでいなければならない」ってことに異様なほどこだわってる人がいるのも事実です。でも、もうそんな時代じゃないし、お互いが納得しやっていければいいと思います。そもそも、お互いの収入を知らないという夫婦って結構多いですよね。かく言う自分もそうですが。
——それってうまくいくのでしょうか。やっぱりお金の話はしづらいです。
う〜ん、どうなんでしょう。人それぞれとしか言いようはありませんが、我々の場合、共同で使うものに関しては共同財布から出していますが、あとはそれぞれの稼ぎの中で自由にって感じです。僕は妻がいくら稼いでるか知らないし、いくら貯金があるかも知りません。
逆に、僕はお金の管理が壊滅的に苦手なので、どの仕事でどのくらい原稿料をもらっているか、全部報告しています。確定申告なども手伝ってもらっているので……そこは頭が上がらないです(笑)。
一家の大黒柱! 男を養うパワフルな女たち
——女性が多く稼いでいる夫婦で、うまくいっている例はありますか?
長年女性のキャリアサポートに携わり、現在は「キャリ婚」という婚活サービスの運営も手がけている経営者の川崎貴子さんは、まさにその好例だと思います。川崎さんはバツイチ子持ちでバリバリ仕事をしたいタイプで、夫は8歳年下のダンサー。
川崎さんの著書『愛は技術─何度失敗しても女は幸せになれる。』(KKベストセラーズ)には、そんな夫との出会いがつづられています。ダンサーの彼はずっと家にいてストレッチとかをやっていたいタイプで、家事も子育ても好き。ニーズがバッチリ合い、川崎さんが一家の大黒柱として収入面を、夫が家庭面を支えながら、とても幸せな結婚生活を送られているようです。
また最近は、趣味に大金をつぎ込んだり、“ヒモ”を養うことを積極的に楽しむ女性たちがクローズアップされています。
例えば、『浪費図鑑─悪友たちのないしょ話─』(小学館)という本が話題になりました。これは趣味に愛とお金をつぎ込む女性たちのエピソード集なんですが、アイドルや宝塚、ホストやV系バンドなど、いわゆる“沼”と呼ばれる趣味の世界にハマり、積極的に浪費を楽しむ女性たちの姿が描かれています。
大金をつぎ込む自分を自虐的しつつ、そこで得られる快楽や愉悦に酔いしれる……そこに悲壮感や痛々しさはありません。積極的にヒモを養う女性もそうですが、それができるのは、自分の力でお金を稼ぐ能力があるからですよね。
稼ぐ力はある種のサバイバル能力であり、パワーそのものみたいなところもあると思います。かつてであれば、お金を使って趣味の世界を極めたり、愛人や妾を囲ったりというのはおじさんたちの専売特許でしたが、今は能力を備えてバンバン稼ぐパワフルな女性もたくさん出てきている。浪費やヒモを養うことを楽しむ女性の出現は、そういった背景とも無関係ではないと思います。