はじめに

——スーパーウーマンだからこそできる生き方という気がしてしまいますが……。

もちろん能力やエネルギーがあるからこそという気もしますが、そこまでいかなくても、自分の稼ぎの範囲内で好きなことをしている人もたくさんいるし、結婚するにしても、世帯年収で考えて、お互いが好きなことをやりながら生きて行けるようなパートナーシップを築いていくことは十分に可能だと思います。

というか、「夫の稼ぎで家計を支え、妻は専業主婦で家庭を支える」というモデルがレアケースになりつつあるわけで、今後ますますそちらへシフトしていくと思います。

そんな中で、いまだに女性が働くことを「家計の足し」くらいにしか考えられないような男性も確かにいます。「家事に支障をきたさない範囲なら仕事していいよ」とか言う夫も実際にいるので。そういう価値観が根強く存在していることは確かですが、もはや時代錯誤という感じもしますよね。

今の生活がずっと続く保証なんてどこにもないし、5年後にはまったく異なる人生を歩んでる可能性だってあるわけです。なので、絶対的な安定を志向するよりも、変化していく状況にそのつど対応していけるようなパートナーシップを築いていくという発想のほうがこれからの時代にはマッチしているのではないかと考えています。

どちらが稼いでるかにこだわるのはナンセンス!

日本ではもう20年くらい「長引く不況」とか言われてますけど、おそらくこれがデフォルトですよね。かつてあったバブルのような好景気を基準にしていて、いつかまたそこに戻るという発想があるから不況という言葉を使っているんだと思いますが、個人的には「嘘つけ!」って思います(笑)。

こういう経済状況の中で、当面は大丈夫だとしても、将来の暮らしに不安を抱えている人はものすごく多いですよね。非正規雇用の人もたくさんいるし、正社員だとしてもいつ職を失うかわからないし、会社がなくなるかもしれない。そんな世の中にあって、ジェンダー観やお金に対する価値観が旧式のままだとしんどいと思うんです。

例えば一部のネット民にはびこるミソジニー(女性嫌悪)の背景には、人生の不安やしんどさがあると感じます。自分は非モテだ、自分は負け組だ……と負の感情を募らせ、その矛先をなぜか女性に向けてしまう、というか。「どうせ女はイケメンと金持ちが好きなんだろ」みたいな言説も、そういった部分から出てきているような印象があります。

これは簡単な言葉で語れる問題ではないのですが、「稼がねば」「競争に勝たねば」という旧来的な“男らしさの呪縛”が、男性自身を苦しめている部分は大いにあると思います。だからこそ、今一度お金に対する価値観を自分なりに振り返ってみる必要があるのではないかと……。

——お金の話題をタブー視してる場合じゃないということですね。

そうですね。個人的な考えを言えば、もうね、どうでもいいと思うんですよ、年収いくらとか(笑)。

格差を拡大するのではなく、多くの人に豊かさが行き渡るような仕組み作りは、それはそれとして政治や経済が果たすべき重要な仕事だと思いますが、一個人のスケールで言えば、お金は自分が送りたい人生を実現するためのツールですよね。稼ぐことを目的にしすぎるよりも、自分の人生にどのくらいのお金が必要なのか、あるいは手持ちのお金のなかでいかに幸せに生きていくかを考えていったほうが楽しいと思います。

それこそ「生き抜くため」に、自分なりの考えを持ち、またパートナーとお金について真剣に話し合ってみることが大事になってくると思っています。

『生き抜くための恋愛相談』桃山商事 著

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