はじめに
物価下落を放置すると・・・・・・
それなら、お金の価値が相対的に上がる物価下落は放置していても良いのか、ということですが、それは違います。
物価下落が原材料価格の下落に止まれば良いのですが、最終的に小売価格にまで影響を及ぼすと、企業の利益幅が減少します。すると、企業に勤める人たちの給料が減り、消費が落ち、それらがさらなる企業の利益減を引き起こし、給料が減り・・・・・・、というように、どんどん物価下落が加速し、それにともなって景気がさらに落ち込んでしまいます。
そうならないようにするために、日銀は金利を引き下げ、個人消費や企業の設備投資が活発になるようにします。
つまり金利は、銀行や証券会社などの金融機関、金融機関以外の法人、個人、自治体、政府、外国人といった市場参加者の、お金に対する需給バランスに加え、日銀が物価や景気情勢を睨みながら、政策として金利を一定の方向に動かすことも、大きな変動要因になっているのです。
金利を学ぶ良いタイミング
これまでゼロ水準、もしくはそれよりも低いマイナス水準に沈んでいた金利が、徐々にプラスに転じてきたのは、昨年来続いているインフレによる影響です。
ただ、それでも米国や欧州のように大きく利上げできていないのは、日本の景気回復がまだ明確に見えていないからです。今後、物価上昇を超える賃金の引き上げが実現し、個人消費が回復する動きになれば、いよいよ本格的に金利が上昇することになる可能性があります。
実際にそうなるかどうか、まだ見えて来ない部分もありますが、「金利とは何か」を学ぶには良いタイミングに来ているのではないでしょうか。