はじめに

ノートに資産一覧を

お金のはなしは親子でもなかなかしづらいかも知れませんが、ここが出発点ですのでぜひ子世代から切り出しましょう。

実際筆者も先日84歳の母の資産状況の把握を行いました。まずは母が保有する預貯金を書き出しました。通帳が複数ありましたから、ひとつひとつ番号を控え、現時点での残高を一覧にしました。また入出金履歴を遡って、今後のキャッシュフローに滞りがないかも確認しました。

母は地方公務員でしたから共済からの年金、国民年金、父の遺族年金の3種類の公的年金があります。それぞれ通知書を保管していましたが、詳細までは理解できてはいませんでしたので今回それらを付き合わせながら、年金額を把握しました。

生命保険会社の私的年金もありました。いつの間に契約したのか、85歳から受取りを開始する確定年金もありました。他にも介護保険と終身の死亡保険もありましたので、証券をクリアファイルに整理しつつ、証券番号や問い合わせ先、保障内容などを一覧にしました。また契約者である母が自分で保険金請求をできなくなる状況も想定して、代理人も指定しました。

母は不動産を一切持っていませんし、有価証券もありません。以前住んでいたマンションは売却し施設入居の一時金にしましたし、かつて父から相続した有価証券はタイミングを見ながらすべて売却した経緯があります。

筆者が親の財産状況を整理するのは、今回が3回目です。最初は、父が亡くなる前に父がまとめた財産一覧について説明を受けました。用意周到な父だったので、がんの緩和ケアを受ける中、相続をどうするのか、葬儀はどうするのかといった指示も含め話ができたのは、とても良かったと感じています。

相続で発生した生命保険や年金の手続きなど諸々が終わった後に、今度は母のために財産目録を作りました。父に頼り切っていた母が、今後の生活はどうやりくりしたら良いのか分らないと言ったので、毎月の予算立てをしました。

父の死後1人暮らしは心細いと母は施設に入居しました。同時期にコロナとなり、長い間会えずにいたので、この度施設での暮らしを見込んだ財産状況の把握を行った次第です。

「親にお金のことを聞くきっかけってありますか?」などと、お金の話を切り出すタイミングについてよく尋ねられますが、こういう話は親が元気な時じゃないと、逆に聞けないので、あまり深く考えずにできるだけ早くに取り組みましょうとお答えしています。

私は「お母さん、最近郵便物の整理とか書類の整理とかできている? たまっているようなら、内容確認しようか?」と声かけをしました。母はまめな方ですが、理解力、判断能力が衰えている中、郵便物がくるだけで疲れてしまいます。そのため、このように「困りごとを解決する」ことを切り出せば、意外にそのあとお金の把握までスムーズにいくのではないかと思います。

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