はじめに

10月31日、日銀は長期金利の上限のめどを1%とすることなどを決定、大手三行は10年固定金利型住宅ローンの基準金利を引き上げました。

日本の金利は低い水準にありますし、短期金利に大きな動きはありませんが、変動金利型住宅ローンを利用する方は、来年以降の基準金利は上がることを想定したご家庭の対策を確認しておきましょう。

とはいえ、なかなか重い腰が上がらない、という方もいらっしゃるのではないでしょうか。そこで今回は変動金利型住宅ローンを利用している方のうち、金利上昇への備えを早めにすすめておきたい方の特徴を3つ挙げ解説します。


1)住宅ローン残高が多い人

まず、金利上昇に早めの備えが必要なのは、住宅ローン残高が多い人です。住宅ローンは借入ですから、借入れた金額を分割して返済すると同時に利息の支払いも発生します。変動金利型住宅ローンは適用される金利が変動する住宅ローンですから、金利上昇時には適用金利は上がります。支払い利息額は元金に金利をかけ算して計算されます。そのため、金利やその他の条件が同じとき、元金が多ければ、支払い利息額も多くなります。

【図表】は住宅ローン残高別に、毎月返済額に与える金利上昇のインパクトを試算したものです。

実は金利上昇時の違いは、割合で見れば住宅ローン残高が増減しても差はないのですが、実際の増加額でみれば、住宅ローン残高が大きいほど大きくなっていることがわかります。一気に1.5%程度金利が上がることは想像しづらいですが、住宅ローンの返済は長く続きます。5年ごとの返済額の見直しを想定して、毎月返済額を試算してみましょう。これからの金利上昇のペースが速いほど、元金が減るペースはダウンします。現在住宅ローンを借り入れて間もない方は、これから金利上昇の影響を受ける期間が長くなることも想定されます。金利上昇への有効な対策は家庭によって異なりますが、まずは家計の見直しとともに住宅ローン返済計画についても振り返りましょう。

2)まとまった繰上げ返済資金がない人

金利上昇への対応として、繰上げ返済を考える方もいらっしゃいますが、繰上げ返済にはデメリットもあります。想定されるデメリットの程度は家庭によって異なりますが、デメリットを踏まえた上で有効であれば、繰上げ返済も対策のひとつです。ただし、繰上げ返済の効果はケースバイケースであることは知っておきましょう。

【図表2】は繰上げ返済後に適用金利が上がった場合の、繰上げ返済の効果を試算したものです。繰上げ返済後、適用金利上昇を加味しても当初の毎月返済額よりも下がっているものは青色の網掛けをしています。

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繰上げ返済の金額として100万円を目安としている方は多いですが、ある程度の金利上昇を想定すると500万円程度のまとまった資金を繰上げ返済に充てない場合は、毎月の返済額を維持する効果はあまり見込めない可能性があります。

とはいえ、実際に今後どのようなペースで、どれくらい金利があがるかどうかは誰にもわかりません。効果が見込めるケースもあるでしょう。ご自身の住宅ローン残高など、返済状況などもあわせて確認しておきましょう。繰上げ返済資金が少ない人は早めの時期で検討しましょう。

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