はじめに

ゆとりを持ったライフプランを

すべてのリスクに完璧に備えることは難しいですが、ある程度の余力を持ってローンを組むことはとても大切です。夢のマイホームに理想を抱くことは悪いことではありません。しかし、あらゆる人生の選択肢が住宅によって圧迫されることは避けたいところです。

筆者自身、マイホームを買う前に読んだ本の中で印象に残っている部分をご紹介します。『「幸せをお金で買う」5つの授業』(著者:エリザベス・ダン、マイケル・ノートン)という本の中では、関西学院大学の中里直樹らのグループがドイツで約16年間に渡り、不満のあった家から新しい家に引っ越しした数千人を対象に追跡調査をした事例について書かれています。その調査では、新居への満足度は5年後も比較的高かったものの、生活全体に対する満足度は以前と変わらなかったことがわかりました。

この調査結果がすべての人に当てはまるわけではないでしょう。けれど、人生で最も大きな買い物になる可能性が高い住宅が、生活全体に対する満足度には影響が少ない可能性もあります。それを理解した上で、今一度ライフプランニングをし直してみるのも良いのではないでしょうか。筆者自身もこの本を読んで、「こういう考え方があるのだな」と思い、当初予定していたローン金額を見直し、余裕を持ったローン金額で住宅を購入しました。
 
ご相談者様は、子どもが3人に増えること、生活費が3万円増加することを想定し、1,500万円を減額した5,500万円でローンを組むことに決めました。少しゆとりを持ったローン金額になったことで、精神的にも安心できたと感じているそうです。また、家づくりにおいても予算内で快適な暮らしを実現すべく、設計士の方との打ち合わせを再度始めたそうです。

(前提条件:住宅ローン5,500万円、子ども3人、生活費3万円増加)

マイホーム購入以外にも大事なイベントはある

将来のことは予測不可能な部分も多いですよね。だからこそ、ライフプランを作成するときには、色々なパターンやリスクを想定しておくこと、そして、想定外の出来事にも対応できる余力を持つことがとても大切になります。

マイホーム購入は大きなライフイベントのひとつです。とはいえ、人生には他にも大事なライフイベントが多くあるはずです。家族にとって価値あるものにお金をかけるためにも、人生全体を俯瞰して考えることも必要です。

後悔しないマイホーム購入のためにも、ゆとりある住宅購入を一緒に考えていきましょう。

【監修】伊達有希子/ファイナンシャルプランナー(CFP、1級FP技能士)

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