はじめに

「ローンを組める金額」と「無理なく返済できる金額」は違う

たしかに、シミュレーション上は赤字に転落することはありませんでしたが、実は毎年の収支はカツカツ。単年で見ると赤字の年も散見されます。今まで頑張って貯めてこられた貯金にかなり助けられている状況です。

住宅ローンを組む際には、「ローンを組める金額」と「無理なく返済できる金額」は違うという点に注意が必要です。

借り入れ可能額はシミュレーションツールを使えば簡単に出すことができます。例えば、フラット35のローンシミュレーションでは、年収1,000万円の場合、貸付上限の8,000万円まで借り入れが可能だと表示されます。

仮に借入額8,000万円、金利0.8%、返済期間35年で計算すると、月々の返済額は約22万円。ご相談者様の当初の希望である7,000万円で計算しても、月々の返済額は約19万円にもなります。グラフにもあるように決して返済できない額ではありませんが、「無理なく返済できる金額」といえるかどうかは慎重に検討する必要があります。

予想外のことが家計を圧迫する恐れも

これからの長い人生を正確に予想することは誰にもできません。もう1人子どもが増えた、少し高い車を買った、子どもが留学することになった、転職で収入が減った、といったように、予想外のことが家計を圧迫する怖れもあります。

以下のグラフは子どもがさらに1人増え、生活費が月3万円増えた場合のシミュレーションになります。世帯主が44歳になったタイミングで赤字に転落、その後退職金で一時プラスに転じるも老後は80歳で資金が尽きてしまう予想になります。人生100年時代といわれている現代において、ライフプランはできれば100歳まで資金の不安が無いように計画したいところです。

(前提条件:住宅ローン7,000万円、子ども3人、生活費3万円増加)

上記のグラフをご覧いただいて、予想外のことがライフプランに大きく影響を与える可能性があることをご理解いただけたと思います。また、家庭内の出来事だけではなく、住宅ローン金利の上昇(変動金利を選択される場合)、物価の上昇、年金の減額といった外部要因によってもライフプランは左右される可能性があります。予想外の出来事にもある程度は対応できる余力を家計に残しておく必要があるのです。

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