はじめに

「投資に100%はない」と言っても、新NISAなど長期投資の際にできるだけ安定して利回りを取りたいという方はいらっしゃるでしょう。NISAは利益が非課税なので、利益が出なかった場合には特に恩恵がなく、通常の口座との損益通算もできません。したがって、原則として損益は考慮していない制度であると言えます。ただ日本の投資家の多数が利益を出せているのか?と考えると、利益が出なかった場合のことも考えておいた方がよいでしょう。

そこで、「利回りをとりながら新NISAで非課税の恩恵を受けたいのだけど自分で高配当株を選ぶ自信がない」という方や、「個別銘柄を選んだり入れ替えたりするのが手間だ」という方には、ETFや投資信託で分散投資して、長期で保有していくという選択肢もあるのではないでしょうか。

今回は、そのようなニーズに応える新たなファンドをご紹介します。


SBI日本高配当株式

低コストで日本の高配当銘柄に投資し、分配金を受け取りたい方に知っておいていただきたいのが、SBI日本高配当株式ファンドです。

SBI日本高配当株式(分配)ファンド(年4回決算型)、愛称「SBI日本シリーズ - 日本高配当株式(分配)」は、日本の株式のなかで配当利回りに着目して高水準のインカムゲインと中長期の値上がり益を狙い、年4回の決算時に分配金を支払うことを目指すファンド。SBIグローバスアセットマネジメントが、12月12日に設定・運用開始しました。

SBI日本高配当株式ファンドのまず1番のポイントは、信託報酬が年0.099%(税込)と、国内株式ファンドとして信託報酬最安となることです。(※公募投信(ETF、ラップ専用を除く)として、ウエルスアドバイザー株式会社サイト〈2023 年 12 月1日掲載〉より)

日本株式に投資するファンドで最安水準だったサクっと日経225の年0.1133%程度や、eMAXIS Slim 国内株式(TOPIX)、eMAXIS Slim 国内株式(日経平均)」の0.143%以内などを下回ります。

投信マイレージも考えると、実質コストはさらに下がると考えられます。そして、気になる予想利回りはモデルポートフォリオでは年4.57%とかなりの高利回りとなっています。

米国の高配当ETFで有名なのは、大型高配当に分散投資できるVYM、配当利回りの高さが特徴 のSPYD、財務健全性が高い銘柄に投資している HDVがありますが、SBI日本高配当株式ファンドは大型高配当に分散投資できるという点でVYMのようでもあり、利回りの高さや構成銘柄が景気敏感株が多いところはSPYDのような印象です。

異例の運用ポートフォリオ案の公開も

アクティブファンドとしては異例の、当初設定時の運用ポートフォリオ案の開示を行っていることもポイントと言えます。モデルポートフォリオによれば三ツ星ベルト(5192)、安藤・間(1719)、日東工業(6651)など30銘柄が組み込まれています。過去10年の運用パフォーマンスは SBIのデータによれば、年率14.4%上昇とのことで、あくまで過去のデータではありますがパフォーマンスにも期待ができそうです。

選定方法も明示されていて、東証に上場する約4,200銘柄を中心に時価総額1,000億円程度以上の銘柄の中から、流動性や収益性、ROE(株主資本利益率)等の定量指標でスクリーニングを行っているとのこと。また保有する銘柄の株価動向や市場動向などを鑑みて、管理や四半期に1回以上の頻度でのポートフォリオの見直しを実施するとのことです。個人的には個別銘柄で保有するには、高利回りなどの魅力があるもののリスクを感じる銘柄もあるので、ファンドで分散投資できる魅力を感じました。

SBI日本高配当株式ファンドの当初申込期間は、2023年12月4日から2023年12月11日まででしたが、当初募集期間中に61億円を超える申し込みが入ったとのことで、「ネット証券のみを販売会社とする国内株式を主要投資対象とした追加型公募株式投資信託では、過去3年間で最大の募集額設定、運用を開始することになります。」とSBIが伝えており、投資家の関心のほどが伺えます。

当初申込期間とは、運用開始前に購入の申し込みが受け付けられる期間で、この当初申込期間に申し込むと、設定時の基準価額(通常10,000円)での購入となります。設定日は2023年12月12日です。なお、このファンドはSBI証券のみで取り扱っていますのでその点はご注意ください。

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