はじめに
今回のテーマは、「10年前に入った保険の見直し」を考えようです。
「10年前だから、そろそろ見直した方がいいのかな?」「年齢も上がっているから保険料も上がるのかな?」「納得して入った保険だから見直す必要ってあるの?」「保険って定期的に見直した方がいいのかな?」「見直すと得なことってあるの?」など、さまざまな声が聞こえてきます。
そこで、筆者は、ちょっと変わった検証をしてみました。10年前の保険商品と、いま販売されている同じ保険商品の保障内容の比較です。10年前の保険料などのデータを調べるのは難しいですが、筆者は『よい保険・悪い保険』という書籍を14年間ずっと監修してきました。
今回は『よい保険・悪い保険 2014年版』(宝島社)と『NEWよい保険・悪い保険 2024年版』(徳間書店)のデータを使って解説します。いままで同じ保険商品を時系列で比較した例は、私の知る限りではありません。
なかには10年前に入った同じ保険に入り直すと年齢が上がっているにもかかわらず、保険料が安くなる保険もあります。つまり、10年前、30歳で入った保険商品、いまは40歳になったのだけれども、同じ保険商品に入り直すとなんと保険料が安くなる可能性があるということです。
では、具体的にどんな保険が入り直した方が「得」で、どんな保険が「損」になるのか解説しましょう。
入り直した方が得な保険・損な保険
収入保障保険
収入保障保険は、毎月一定額の死亡保険金を受けとれる定期型の死亡保険です。この保険は、10年前に比べて保険料はかなり安くなっています。10年前の30歳男性の保険料と、いまの40歳男性の保険料を比べてみると、なんと保険料が安くなっているのです(60歳払込満了が条件)。
保険会社や条件によっても異なりますが、同じ保険商品でも乗り替えた方が保険料が安くなる可能性があります。その理由は、標準生命表の改定の影響です。標準生命表とは、性別・年代別の死亡利率などのデータで、保険料を算定するための基となる数字です。10年前と比べて保険料が安くなった理由は、長寿になったために各年代の死亡率が下がったことに加え、各社の価格競争が要因です。
また、10年前には少なかった、リスク細分型の保険が多くなっています。リスク細分型は、喫煙の有無、BMI、血圧などの健康状態がいい人ほど、保険料の割引がある商品です。たとえば10年前に通常の保険に加入していたとしたら、見直しでリスク細分型保険を選ぶことで保険料が安くなることがあります。
定期保険
定期保険は、保障期間が決まっている死亡保険です。たとえば10年定期保険を例にして調べました。10年更新なので、30歳で契約すると40歳になった時に更新になります。しかし、それほど保険料は上がらずに更新ができます。これも収入保障保険と同じ、標準生命表の改定の影響です。
終身保険
終身保険は、10年前の保険料と比較すると、かなり高くなっています。その理由は、予定利率が下がったからです。これは低金利時代の影響です。10年前の予定利率は約1%でしたが、いまは0.25%くらいです(直近では、金利が少し上昇し始めていますが)。バブル時代には、予定利率は5.5%もありました。予定利率のよい時代の終身保険は、「お宝保険」とも呼ばれています。これはそのままにしておくのがいいでしょう。