はじめに

株式市場では、2月決算銘柄の第3四半期決算発表が続々と行われております。2月は飲食、ドラッグストア、アパレルなど消費者として売れ行きなどを実感しやすい銘柄が多いため、日々の肌感と業績が一致しているかどうかの確認作業にもなります。年度の終盤である第3四半期決算は、良くても悪くても株価はすでに織り込み済みのことが多く、そこから株価が急騰することはあまりありません。

投資家の意識は、その先の新年度の業績がどうなるかに向かっていますので、足元の業績への評価がダイレクトに株価に反映しなくなります。そんな事情もあって、第3四半期決算後に株を買うのは難しいのですが、期初から継続的に業績がよく、今後も持続しそうな期待が持てるのに、決算後に株価が下落した場合は、そこが買いチャンスとなることもあります。


暖冬でも上々の決算

そんな観点でひとつ気になっているのはアダストリア(2685)です。コロナのダメージで2021年2月期は最終利益が赤字となりましたが、そこから猛烈な回復を見せており、今期2024年2月期は過去最高売上、最高利益を更新予想です。

以前、この連載でも取り上げたように、コロナ禍では自宅でのリラックスウェアとしてユニクロや無印良品のようなシンプルな服が好まれましたが、アフターコロナでは、ファッション性の高い外出着のニーズが高まりました。

参考記事:良品計画とアダストリア…明暗分けたアパレル決算、勝ち・負けの境目はどこにあるのか?

その流れを受けて、当社は業績が快調となっています。ただ、この暖冬では、利益率の高いコートなど防寒着が売れないため、アパレル各社の業績はパッとしないのでは?という思惑があり、わたし自身が保有していたアパレル銘柄はすでに売却しています。ところが、当社の第3四半期決算は上々でした。

画像:アダストリア「2024年2月期 第3四半期決算短信〔日本基準〕(連結)

2023年12月29日に発表された2024年2月期の①売上高は203,252(百万円)、②前年比14.8%、③営業利益16,306(百万円)、④前年比+46.0%と二桁の増収増益です。

四半期の営業利益の推移をみると6-8月は4,033(百万円)、9-11月は5,995(百万円)と増益です。6-8月は猛暑の影響もあり売上利益ともやや低下しているので、比較して増益というのはあまり評価材料にはならないかもしれませんが、行動制限解除の勢いがもっとも大きかった3-5月の営業利益は6,278(百万円)で、それと比べて遜色ない数字だと思います。売上高は、3-5月が68,478(百万円)、9-11月は70,356(百万円)と直近3ヶ月のほうが高く、この数字は四半期ベースでは過去最高売上となります。

決算短信によると、円安による原価上昇の影響はあるものの、「適時・適価・適量」の商品提供による在庫コントロールと、値引き販売の抑制、商品の高付加価値化、商品の価格見直し、製造原価の抑制など、かなりの企業努力を行なっており、その成果として、営業利益率は8.5%と、4-6月の6.3%から大きく改善しています。

通期予想に関しては、2023年9月29日の第2四半期決算発表のタイミングで一度上方修正しており、そこからの変更はありませんでした。営業利益の通期予想に対する第3四半期までの進捗率は90.5%なので、予想値を達成するのはほぼ間違いないでしょう。決算説明書にも「計画通りに進捗」と表記されています。

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