はじめに
ETFを検討してみる
eMAXIS Slim全世界株式一択で良いのだろうかとお考えの方のために、成長投資枠で投資が可能な上場投資信託で同じように全世界に投資をする商品を参考のため解説していきます。
例えば、MAXIS全世界株式上場投信(2559)は、eMAXIS Slim全世界株式と同様MSCIオールカントリーワールドインデックスという指数に連動した運用成果を目指すETF(上場投資信託)です。
上場投資信託(ETF)は証券取引所に上場している投資信託です。一般的に知られている投資信託との違いは、値段の付き方といって問題ないでしょう。
投資信託は、購入するタイミングでは値段が決まっていません。その投資信託を通じて投資を行っている全ての銘柄の終値を集計して投資信託の値段が決まります。そのため、投資信託を購入する際には、「1万円分投資信託を下さい」という約束をし、その後に「基準価格が〇〇円なので××口購入できました」というお知らせがくるのです。
一方ETFは証券取引所に上場されているので、株式のように値段が変動します。従ってNISA口座で購入する際でも、「この値段で買いたい/売りたい」と指定する指し値も可能です。
では、MAXIS全世界株式上場投信とeMAXIS Slim全世界株式の月次レポートを比較してみましょう。
投資対象となる国は、eMAXIS Slim全世界株式とほぼ一緒で、比率もほぼ同じです。また組み入れされている上位10銘柄も同じですし、投資銘柄数も同じです。これは同じ指数に連動するインデックスファンドなので、上場していてもいなくても同じになるのはあたり前といえます。
しかし、騰落率を見ると、全ての期間においてeMAXIS Slim全世界株式の方が勝っています。2023年12月29日現在のレポートで過去1年の騰落率は、eMAXIS Slim全世界株式が30.4%なのに対MAXIS全世界株式上場投信は27.9%、過去3年で見るとeMAXIS Slim全世界株式が63.4%なのに対し、MAXIS全世界株式上場投信は55.7%です。
この理由のひとつには、信託報酬の差があるのではないかと考えます。eMAXIS Slim全世界株式の信託報酬は0.06%、MAXIS全世界株式上場投信は0.0858%なので、この差がパフォーマンスに響いてくるのでしょう。またETFは株と同じ取引になりますので、購入する金融機関によって取引コストが異なります。さらに言うと、銀行ではETFは購入できません。
すべての金融機関を調べた訳ではありませんが、eMAXIS Slim全世界株式はつみたて投資枠で購入しても成長投資枠で購入しても購入時手数料は0%としているので、コスト面でも問題ないでしょう。
よく「分散投資をするために投資信託も複数持った方が良いのでは?」とおっしゃる方もいらっしゃいますが、大切なのは「投資先の分散」であって投資信託の種類ではありません。eMAXIS Slim全世界株式のように、ひとつの投資信託で十分投資先が分散されていればそれで十分なのです。