はじめに
意外と知らない日経平均の算出方法
日経平均の計算方法ですがどのように計算されているのでしょうか。「日経225銘柄の株価合計÷225=日経平均株価」と考えがちですが実は違います。株式には「額面」と呼ばれる調整をするものがあり、比較的古い会社は50円額面、新しい会社は5万円額面でした。2001年以降はこの制度が廃止され、それ以降の株式には額面は存在しません。
そこで仮に額面があるものとして「みなし額面」を設定して計算することになりました。古くは50円以外の額面も存在した為、そのまま計算する訳にはいかないので、一旦50円に換算して計算します。それぞれ500円額面は10分の1として、5万円額面1000分の1にして、調整をします。この事を「みなし額面による調整」といいます。一方で株式分割が行われた場合などは、株価は変わっていないのに株式数が増えてしまうため、こちらも調整をします。もともとは225だった除数ですが株式分割、銘柄入れ替えなどにより現在の除数は約30.02932です。
日経平均銘柄の入れ替えに歴史あり
ところで日経平均の入れ替えが「著しく流動性が低い銘柄を除外し、他の銘柄で補充する」というルールに従い行われたのは今から約33年前の1991年10月です。理由は一部の品薄銘柄(片倉工業、台糖、帝国繊維、松坂屋、大東紡績など)の売買により日経平均が乱高下する要因となった為です。1988年秋に日経平均先物が誕生した事により、裁定取引が活発化した事が影響しました。また、2000年4月には一気に30銘柄を入れ替えた経緯があります。この時は「値がさ株」を採用し、低位株を除外しました。除外銘柄を売却しただけでは新採用銘柄を買い付ける資金が足りず、追加資金捻出のため、全銘柄の株を売却して買付資金の差額分を捻出する必要が生じた為、日経平均は大幅に下落しました。
その後も幾度となく銘柄入れ替えを経ています。昨年から日経225の定期見直しは春と秋の年2回になり、今回は春としては2回目となります。
このように日経平均株価は紆余曲折を経て現在の状況となっています。「4万円突破!」「過去最高値!」とニュースや新聞紙面の見出しで大きく報じられても、中身を知れば私のように、はてなマークが浮かぶ人もいらっしゃるのではないかと思います。とはいえ、日本市場の活況報道には希望の兆しを感じますし、長く低迷していた時期を思えば、賑やかな市場の雰囲気には経済見通しの明るさを示しているようにも感じます。今後の動向を注意深く見守りたいと思います。
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