はじめに

タワマン節税スキームが封印!?

こういった節税目的によるタワマン購入が過熱したことを国税庁が問題視し(参考1)、令和6年(2024年)1月1日以降の相続・贈与から、相続税評価額の見直しがされることになりました。

具体的な計算方法は、この記事では割愛しますが(詳しくお知りになりたい方は、下記「参考2」をご参照ください)、端的にいえば「今までの相続税評価額と市場価格の金額差が大きい場合には、補正して市場価格に近づける」計算が必要となったのです。

これによって、これまで期待していたほどの節税効果を得られなくなる可能性が高くなったうえ、それでも購入する場合は、購入検討対象物件の相続税評価額がどうなるか、事前に綿密なシミュレーションが必要になるなど、事実上このスキームの恩恵にあやかることは難しくなりました。

##「タワマン節税」以外の対策はある?

タワマン節税の事実上”封印”により、有力な節税対策の一つが絶たれた今、その他に考えられる節税スキームはあるでしょうか。

結論からいえば、現在これに代わる新制度や緩和策が設けられたことはなく、生命保険や生前贈与、不動産でいえば更地に賃貸アパートを建築するといった、これまでにもよく言われてきた、”王道な選択肢”に限られてしまいます。

尚、タワマン節税のスキームの根本でもある「相続税評価額と市場価格の差」を活用した節税は、タワマンに限らず、不動産全般において年々その目が厳しくなってきています。

平成29年には、この差を目論んで節税しようと不動産を購入し、規則に沿って税申告をしたものの、それが租税回避行為として否認され、多額の納税を強いられることとなった判例もあります(参考3)。

もちろん、多くの不動産において「相続税評価額と市場価格の差」が生じうるため、不動産購入によって、ある程度の節税効果は引き続き期待できることには違いありませんが、タワマンを始めとした過剰な節税は、目をつけられ、その節税対策が否認されるリスクがあるという点は、注視しておくべき必要がありそうです。

(参考1)
国税庁「マンションの相続税評価と市場価格の乖離の実態について
(参考2)
国税庁「居住用の区分所有財産の評価について(法令解釈通達)
(参考3)
国税不服審判所「平成29年5月23日裁決

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