はじめに

世界全体の経済成長の力を生かすなら、オルカンへの投資は合理的

オルカンに投資すると、世界全体の経済成長の力を生かしてお金を増やす期待ができます。

日本人の人口は減少しつつありますが、世界的に見れば人口は増加傾向です。2024年時点で80億人前後の世界人口は、2058年には100億人に達すると推計されています。人口が増えれば消費も増え、それに合わせてモノやサービスの生産も増えます。このように世界経済が拡大し続けるのであれば、10年・20年・30年…といった長期のスパンでは株価が上昇する可能性は非常に高いといえます。

IMFが公表している「世界経済見通し」(2024年1月)では、世界の経済成長率は「2024年:3.1%」「2025年:3.2%」になると予測されています。世界の経済成長率には年によりばらつきがありますが、おおむね過去は3〜4%で推移していて、今後もその傾向は続く見通しです。

世界全体が経済成長していくならば、世界全体に投資をしていたほうがよりお金が増えることもわかっています。フランスの経済学者、トマ・ピケティ氏は著書「21世紀の資本」の中で「r>g」という不等式を証明していますが、これは、投資のリターン(r)が経済成長率(g)より大きくなることを示したものです。つまり、世界に分散投資するだけで3〜4%を超えるリターンが得られる可能性は高いというわけです。

ただし、長期的に増えるといっても、投資に絶対はありません。お金が減ってしまう、元本割れは防ぎたいものです。人間は損が嫌いな生き物です。

しかし、これも対策がある程度可能であり、元本割れを防ぎつつ堅実にお金を増やすなら、「15年以上」の長期投資が一つの目安です。「ウォール街のランダム・ウォーカー」(バートン・マルキール著)によれば、1950年以降のデータで、分散投資された商品例として米国株価指数「S&P500」に投資を行った場合、15年以上投資すれば、どの期間の15年でも元本割れしないという分析結果を紹介しています。

リスク許容度は人によって異なる。すべての人がオルカンに投資すべきではない

世界全体の経済成長の力を生かすなら、オルカンへの投資は合理的ではあるものの、すべての人がオルカンに投資すべきではありません。なぜなら、人によりリスク許容度が違うからです。

リスク許容度は、「いくらの損までであれば耐えられるか」を表す度合いのこと。客観的には、高年収、資産が多い人、若い世代の人などはリスク許容度が高いといわれますが、「自分はリスクをとりたくない」と思っていたらリスク許容度は低くなります。リスク許容度は高いからよい(低いからだめ)ということはありません。自分のリスク許容度を把握して、それに見合う商品を選ぶ必要があります。

オルカンは世界中の企業に投資することで分散投資の効果が得られます。しかし、投資の対象はあくまで世界中のさまざまな国の株式ですから、リスクは比較的高めです。リスク許容度が低い人がオルカンを買うと、リスク許容度を超えた値動きになってしまうので適切ではありません。

オルカンはリスク許容度が高い人向けの商品であるということを念頭に置いておくべきでしょう。リスク許容度が高くないのであれば、1本で株式だけでなく債券にも投資するバランス型の投資信託のほうが適しているでしょう。

また、リスク許容度が高くても、より積極的な投資をしたいならば、S&P500、NASDAQ100、SOX(フィラデルフィア半導体株指数)などの米国株インデックスファンドが投資候補になるでしょう。新NISAの成長投資枠では個別株に投資もできますので、投資信託に固執する必要もありません。日本株も今や1株から投資ができます。

大事なことは自分のリスク許容度に見合ったポートフォリオ(資産配分)を考え、商品を選ぶことです。

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