はじめに

安定収益となる配当金

一方、株式にはもうひとつの収益源があります。それが「配当金」です。

配当金は、株価の値上がり益とは異なり、市場参加者の心理に左右されるようなことはありません。売上から各種経費、ならびに税金を差し引いた後に残された「税引後利益」から、配当金が支払われます。

もちろん企業としては、さらに成長していくために必要な投資も随時、行っていく必要があるので、税引後利益の全額を配当金として支払うわけではありません。税引後利益の一部は将来、必要に応じて設備投資や人材投資を行うのに必要な軍資金として、内部留保に回されます。ざっくりいえば、税引後利益から内部留保として確保する資金を除外した残金が、配当の原資になります。

つまり配当金の額の多寡は、市場参加者の心理とはまったく関係なく、企業の配当政策によって決められます。したがって、キャピタルゲインに比べると、配当金の方が収益としては安定しています。

株式の配当利回りは、年1回の本決算時と中間決算時に支払われる配当金が、自分の投資した株価に対して何%かということで示されます。

仮に1株につき年間120円の配当金を出している企業の株式を、1株3000円で購入した場合、この株式の配当利回りは、

120円÷3000円=0.04=4%

になります。これが2500円の株価で購入した場合なら、配当利回りは4.8%になりますし、株価が3500円なら、配当利回りは3.43%になります。

減配や無配に注意

このように配当利回りは、株価の変動によって上昇、低下を繰り返します。株価は時々刻々と変動しているので、どの株価で投資したのかによって、配当利回りは変わってきます。同じ銘柄でも、投資した時の株価が違えば、配当利回りも違ってくるのです。

ただし、ここは間違いやすいので注意していただきたいのですが、自分が株式を買った時の株価、つまり買付コストは、その後、いくら株価が上下しようとも変わりません。したがって、投資先企業が配当金を買えない限り、得られる配当利回りは不変です。前述の例で言うと、年間120円の配当金が得られる企業の株式を、3000円の株価で買い付けられれば、その後、株価が5000円になっても、あるいは1500円になっても、配当利回りは4%のままです。

とはいえ配当金の原資は、基本的に企業の利益から捻出されるものなので、その企業の業績が悪化した場合などは、見込み通りの配当金が得られなくなるケースも、想定しておく必要があります。業績が悪化した場合には、配当金の額が減らされる「減配」や、あまりにも業績が悪い時には、配当金そのものを中止する「無配」になる場合もあります。

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