はじめに
2024年を迎え日経平均株価は史上最高値を更新し、春闘での賃上げニュースなど景気の良い話題を耳にするようになりました。いっぽうで、伝統的な大手企業では早期退職募集も行われているようです。今回は早期退職後の健康保険について筆者に寄せられた相談事例から考えてみたいと思います。
退職後に加入する健康保険は自分で決める
日本は国民皆保険制度ですから、国内に住み続ける限り公的医療保険(健康保険)に加入する義務があります。その上で押さえておきたいのは、退職後に加入する健康保険には複数の選択肢があることです。働き方や収入など、それぞれの状況によってベターな判断は異なります。
筆者はファイナンシャル・プランナーとして活動していますが、ご相談に来られる多くが50代後半から定年前後の方々です。今回ご紹介するのは、健康保険の選択に悩まれている大手企業に勤務するAさん(60歳)のケースになります。
Aさんの勤務先は65歳定年制ですが、早期退職募集に手を挙げ、早々に2ヶ月後の退職が決まったとのことです。担当部署から送られてきた書類一式の膨大な量に驚かれたAさん。退職前に決めなければいけないことが多々あることを知り、今まで会社に任せていれば何とかなっていたけれど、これからは自分で判断しなければならない、と覚悟を決めて筆者の元へ来られたのでした。