はじめに

2023年度の株式市場は日経平均が3月末の終値で4万円を突破するなど躍進の1年となりました。株価上昇の要因は東証が上場企業に促した「資本コストや株価を意識した経営の実現」により、企業の変革を先取りした事や、円安の進行による企業業績の改善が大きかったように思います。

2023年3月末に2万8041円だった日経平均は、2024年3月末には4万0369円で終了し、実に1万2328円(43.9%)の上昇となりました。そのうち2024年に6905円高となっています。特に2024年に入ってプライム市場の売買代金が4兆円を超える大商いとなっており、多い時には7兆円に迫る日もあります。

今回は、2023年に大きく時価総額を伸ばした企業や減らした企業を取り上げたいと思います。私は日経平均が4万円の大台を突破した事よりも、プライム市場の時価総額が900兆円を超え、過去最高の時価総額となった事の方が、個人投資家にとって意味があると考えています。


30兆円以上増やしたトヨタ

トヨタ自動車(7203)は、2023年に時価総額を30兆円以上増やし、3月末時点で61兆円となりました。同社は日本市場の時価総額がトップで、世界の時価総額100位に唯一入る日本企業です。円安を追い風に業績が拡大しています。2月6日の決算発表では2024年3月の連結純利益が前年比約84%増の4兆5000億円に増額する事を発表しました。また、トヨタグループ各社は、持ち合い株の売却を進める事を発表しました。企業が政策株の売却を進めることで、収益性の高い投資を通じた利益率向上や、積極的な株主還元の強化などが期待されます。

グループ再編のデンソーや豊田自動織機

デンソー (6902)は2023年12月に、日野自動車や豊田合成、愛知製鋼の保有株式をすべて売却した事が判明。今後、豊田自動織機(6201)やアイシン株など売却する予定です。売却対象となる豊田自動織機の約2965万株に関しては、需給悪化や株価への影響をできるだけ避けるため、株式売却は10回に分割し、最大2年半かけて実施するとのこと。売却した資金で株主還元や成長投資にあてる予定です。グループ再編が好感され、デンソーや豊田自動織機の時価総額も大きく増加しました。

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