はじめに

このところ調整ぎみの東京株式市場ですが、3月には日経平均株価が4万円に乗せるなど、堅調な推移が続きました。

このように、株式市場は堅調に推移しているなか、不振を極めていたのがJ-REIT市場です。高配当利回り銘柄投資が注目を集めているにも関わらず、それとは何の遜色もない分配金利回りを出しているはずのJ-REITには買いが入らず、売り一色の展開が続きました。


コロナによる空室リスクの高まり

直近の東証REIT指数の値動きを見ると、2020年3月19日のコロナショックで急落しました。直前の2月21日に2255.72ポイントを付けていた同指数は、1138.04ポイントまで急落。そこから徐々に値を戻し、2021年7月13日には2200.02ポイントを回復してきましたが、それが戻り高値で、2024年3月13日の1657.57ポイントまで、ひたすら下降トレンドをたどりました。

長期にわたって下降トレンドが続いたのは、第一にオフィスビルの空室リスクが高まったことです。もう昔話のような気がしますが、新型コロナウイルスの感染拡大が深刻化していた時期、リモートワークによってオフィス需要が一気に後退しました。

三鬼商事が公表している「MIKI OFFICE REPORT TOKYO2024」によると、東京ビジネス地区におけるオフィスビルの空室率は、2019年に1.55%まで低下していたものの、2020年に4.49%、2021年に6.33%、2022年に6.47%というように上昇しました。2023年は6.03%というように、やや小康状態になっていますが、それでも空室率は6%台と高い水準に止まっています。

また、平均賃料は下降トレンドが続いていて、坪単価は2019年の2万2206円から2023年には1万9748円まで下落しました。空室率が高止まるのと同時に賃料が落ちていますから、オフィスビルの収益率は悪化しています。J-REITには東京都内のオフィスビルが多く組み入れられているので、この影響は無視できません。

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