はじめに
地震保険の割引
地震による損害は地震保険を付帯していないと補償されません。また、地震保険は単独で加入することができず、火災保険とセットで契約する必要があるので、地震保険をつけていない人は、現在加入している保険会社に相談し追加で加入することになります。
地震保険は財務省が管轄しています。大規模な地震などによる被災者の生活の安定のため、民間保険会社が負う地震保険責任の一定額以上の損害を政府が再保険することで成り立っています。そのため、保険料率や割引などは保険会社共通で、どの保険会社で加入しても地震保険の部分は保険料が同じです。
地震保険には4種類の割引があります。
- 建築年割引 昭和56年6月1日以降に新築された建物の場合 10%割引適用
「建物登記簿謄本」宅建業者が発行する「重要事項説明書」などで新築年が確認できる資料が必要 - 耐震診断割引 耐震診断または耐震改修を受けたことがあり、「耐震基準適合書」「住宅耐震改修証明書」等がある場合 10%割引適用 書類の提出が必要
- 耐震等級割引 耐震等級が確認できる書類を持っている場合 耐震等級3=50%割引適用 耐震等級2=30%割引適用 耐震等級1=10%割引適用
「住宅性能評価書」「住宅性能証明書」
長期優良住宅に関する「技術的審査適合証」「長期使用構造等である旨の確認書」
「認定通知書」等の長期優良住宅の認定書類 などの確認資料提出が必要
4.免震建築物割引 3の耐震等級割引と同様の書類で免震建築物と判定されている場合
50%割引適用 耐震等級と同様確認資料提出が必要
保険料が半額になる免震建築物とはどのような仕組みなのでしょうか。
日本免震構造協会によると、「免震建築物は、地面の上に免震装置がありその上に建物がのっています。地震時に免震装置が地震の揺れを吸収することで建物に地震の揺れが伝わりにくくなります。建物には、免震装置で吸収できなかった地震の揺れが少し伝わるだけです」と説明されています。
建物の揺れが小さいために、家具の転倒、照明器具の落下、設備配管の破損、ドア枠の変形、建物の亀裂などの被害を免れる可能性が高くなります。確かにこの仕組みが組込まれた住宅なら、保険料を半額にするのもうなずけます。
では、耐震等級割引が受けられる耐震等級3とはどのような定義でしょうか。
そもそも、免震建築物は装置のある住宅が定義ですが、耐震等級は、住宅性能を複合的な観点から評価して定められたものです。
その中でも、耐震等級3とは「極めて稀に発生する地震の1.5倍の力に対して倒壊、崩壊等しない程度」と住宅性能表示制度で定められたものです。災害時の防災拠点となる消防署や警察署などは、耐震等級3で建設されているようです。
耐震等級2は3の1.5倍のところが、1.25倍になっています。3に比べると耐震性能は下がりますが、耐震等級2以上であれば「長期優良住宅」と認められます。
各地に大きな地震が頻繁に起きる昨今では、地震に強い機能を備えた住宅が多くなっています。地震保険は保険料が高いというイメージがありますが、このような割引を使えば負担は軽減されます。
リスクが少ない住宅とはいえ、今までに経験したことがないような災害が起こることも考えられます。これから新築を考えている、また、新築マンションを購入するというひとは、火災保険に地震保険をセットしてリスクに備えてはいかがでしょう。