はじめに
日本でも「ブラックフライデー」を導入しようという動きが拡大しています。
これはアメリカでは365日の中で一番消費が伸びると言われている小売店のイベントですが、これまで日本ではあまり注目されていませんでした。
ところが、昨年に続きイオンが今年も力を入れるとともに、楽天市場もブラックフライデーを意識した特売イベントを開始。日本にも拡がっている、この動きの意味を考えてみましょう。
「小売店が黒字になる日」
アメリカでは11月の第四木曜日が感謝祭の休日になります。そのため多くの職場では翌日の金曜日はいわゆる“半ドン”。その日も有給休暇にし、4連休にする慣習があります。
この時期、ほとんどのアメリカ人は感謝祭の休暇を楽しんで、12月の前半はささっと仕事をすませ、そこから長めのクリスマス休暇に入るという、ある種「一年の仕事おさめ」のプロセスに入ります。
人々は業務から開放される一方、消費が拡大します。アメリカ人は、11月の終わりから12月にかけての短い期間に1年の3分の1の消費を行うとも言われています。
その始まりが「ブラックフライデー」。感謝祭の翌日の金曜日、11月の第四金曜日を指す言葉です。
感謝祭の行事が終わった翌日、多くの人々が年末に向けた買い物のために繁華街に繰り出します。
街が人であふれて仕事だらけになる。暗黒の金曜日だ――。
フィラデルフィアの警察官がこう嘆いたことが起源とされる呼び名ですが、新聞も「小売店が黒字になる日」として宣伝し、浸透しました。実際にアメリカでは今、小売店が最も黒字を生み出す日なのです。
日本では外資系からスタート
アメリカはとくに今年のブラックフライデーに期待をかけていたそうです(2017年11月の第四金曜日は11月24日)。
なにしろ夏から秋にかけての消費はとても順調です。このままの勢いで年末商戦に入れば、小売の売上高は昨年比4%増に達しそうだということで、どの小売店も特売に力を入れました。
さて、日本のブラックフライデーは外資系の小売店から始まりました。
「日本トイザらス」「Gap」などアメリカに本部を持つ小売りチェーンから取り入れられ、今年は「H&M」「アディダスジャパン」などヨーロッパ系の小売ブランドもブラックフライデーセールを実施。
これは外資系企業ではよくある話ですが、本部から「やれ!」と言われれば、日本も「やる」ということです。日本の店舗では「ブラックフライデーなんて誰も知らないのになぁ」などと思いながら、それでも指示を受け「ブラックフライデーセール」の看板やポスターを掲げている可能性もあります。
そもそもブラックフライデーの習慣がない日本では「暗黒の金曜日」というネーミング自体がマイナスに感じられるという考えもあるようです。アマゾンなどは年末セールを「サイバーマンデー」として展開しています。