はじめに

いまいち株価がパっとせず、手離したのち、株価が上昇することはよくあります。そんな時の悔しさは、株式投資をしたことある人なら、誰でも経験したことがあるのではないでしょうか?

先日、まさにわたしにもそれが起こりました。2023年の3月にこの連載で取り上げたANYCOLOR(5032)です。上場来高値から株価が半分まで下落し、そこから這い上がれるかどうか、おもしろい展開になりそうだとその時点では考察しています。

参考記事:上場来高値から半値になったIPOラッシュの注目株…トリプルサプライズで株価はどう動いたのか

取り上げたのがちょうど23年11月期の第3四半期決算発表の直後で株価は3,000円程度でした。その後23年4月期の本決算発表があり、新年度である24年4月期で4年連続過去最高益を更新見通しとなり、株価は4,500円近くまで上昇します。


本決算発表で株価がストップ高に

じつはわたしは、2023年4月から1年ほどこの銘柄を保有していましたが、3,000円から4,000円の間を行ったり来たり。また高値を4,460円→4,150円→3,955円→3,850円と切り下げており、あまり上昇する展開をイメージできなかったため、2024年3月期第3四半期決算の発表日前にすべて売却しました。

その後、第3四半期では、11-1月期の営業利益が前年比で-20%の減益となり、翌日の株価は20%以上下落。売っておいてよかったと自分の判断に満足していました。その後も株価はずるずると下げ、2024年の5月には2,043円の底値をつけています。結局、上場来高値の3分の1まで下落したことになります。

ところが先日、株価がストップ高となりました。きっかけは2024年4月期の本決算発表です。

画像:ANYCOLOR「2024年4月期 決算短信〔日本基準〕(非連結)

6月12日に発表された2024年4月期の①売上高は31,995(百万円)、②前年比+26.3%、③営業利益(12,361百万円)、④前年比+31.4%。これは、従来予想からほんのわずかに下回っておりますが、概ね想定通りでサプライズはありません。

画像:ANYCOLOR「2024年4月期 決算短信〔日本基準〕(非連結)

同時に発表された新年度2025年度4月予想は、①売上高予想39,000(百万円)、②前年比+21.9%、③営業利益14,800(百万円)、④前年比+19.7%で、7期連続増収、5期連続増益で過去最高の見込みとなります。

当社は、おもに4つの事業セクターを持ちます。売上比率の約60%を占めるのは、「コマース領域」で、VTuverのオリジナルグッズやデジタル商品の販売を行なっています。にじさんじ関連グッズの販売が好調で、これは新年度も続く見込みです。

次に売上比率が高いのは、「プロモーション領域」で、企業からのタイアップ広告、IPライセンス、メディア出演などの案件を扱っています。NBAとのタイアップなど、さまざまな企業案件が実施され、新規やリピート案件の増加が今後も見込まれています。

同じくらいの売上比率をもつのが、「ライブストリーミング」で、YouTubeにおけるライブ配信動画を中心とした活動です。メンバーシップ収益や広告収益が比較的安定していますが、特定のプラットフォームに収益を頼っていると、仕様の変更や、視聴者の好みの変化で収益が急激に悪化することもあります。YouTuberの事務所を運営しているUUUMの低迷を目の当たりにしており、そのあたりは警戒しているのかもしれません。

4つめは「イベント領域」で、音楽をはじめとしたイベントを主催する活動です。当社に限らずですが、コロナ明けでイベント関連は活況なので、今後の成長が期待できそうです。

海外での「NIJISANJI EN」の活動が思ったほど伸びていかないというネックはあるものの、おおむねすべての領域が安定的に成長しており、投資家には好感されました。

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