はじめに

転職サービスのウェブサイトなどを見ると、転職に成功するのは20代後半~30代前半がもっとも多いとのことです。新卒で働き始めてから約10年、社会人として経験を積んだからこそ見えることも多く、自分自身のキャリアプランを考え直す時期なのかもしれません。

そのような時期は、ともすると経済的にも不安定になりやすいものですが、上手に乗り越えている人が多いようです。人生の選択には、経済的なバックアップも必要。つまり働く力と貯蓄です。そして、支出のコントロールも大切です。

今回は、都内で暮らす30代独身男性の収入、貯蓄、生活費についてみていきます。


東京都の男性の平均年収は、30~34歳は約421万円、35~39歳は約470万円

厚生労働省「2023年賃金構造基本統計調査」によれば、企業の規模によって賃金の違いがあります。全体的に、企業規模が大きいほど賃金が高くなる傾向にありますが、全ての企業規模を合計した場合の男性の平均月収は、30~34歳で30万2100円。35~39歳で33万7900円です。

<年齢階級別・性別・企業規模別賃金(月)>

厚生労働省「2023年賃金構造基本統計調査」を元に筆者作成

詳しく見ていくと、企業規模による違いは働き始めの20代前半の時から差があります。20代の頃はあまり大きくないと思われる差ですが、30代になると月あたり約4~5万円もの差に広がります。さらに、大企業では福利厚生が充実している企業が多く、住宅手当や家賃補助などは家計にも大きな影響があります。

そして、その後の50~59歳のピークまでの増加率にも違いがあり、その差が徐々に広がっていきます。そして、ピークから後の69歳までにはぐっと減少していきます。

このような収入の変化を踏まえ、ライフプランは大きな視野から考えていくことが大切になります。しかし、これは決して「数年後には給料アップ間違いなしだから、将来のために何もしなくていい」、ということではありません。

確かに平均ではこのような数字ですが、年功序列による収入アップは減っていく傾向にあり、成果主義や同一労働同一賃金の導入などにより、会社への貢献度などで収入が決まっていくようになります。

今後は各方面でDX化が進み、そのための人材ニーズはますます高まりそうです。現状よりも転職が促進されることが予想され、失業保険の制度見直しがなされるのもそのひとつでしょう。

2023年8月には、失業保険の基本手当の最低額や上限額がアップして、受け取れる金額を増やすことにつながりました。

また2025年には、自己都合による退職時に、失業保険を受け取れるまでの期間が短縮される見込みです。現在は、自己都合退職の場合には、手続きから受け取るまでに2カ月かかりますが、1カ月に短縮されるというものです。

転職はしやすくなりますが、そのぶん将来のための貯蓄やスキルアップに必要な自己投資は、今後ますます必要性を増してくると思われます。

さて、同調査によれば、東京都の賃金は全国平均の約1.16倍と高い水準です。賃金の高い都府県は、以下神奈川、大阪、栃木、愛知、埼玉、と続きます。

これら6都府県が、全国水準以上の賃金です。

<都道府県の平均賃金(月) 上位都府県>

厚生労働省「2023年賃金構造基本統計調査」を元に筆者作成

東京都の30~34歳男性の平均年収は、全国平均の1.16倍と計算すると約421万円、35~39歳では約470万円になります。月の手取りにすると、それぞれ約28万5000円、約31万9000円となります。

ここ数年の傾向を見てみると、東京と地方との格差は少なくなってきています。

また、賃金水準の高い都府県に、栃木県が入ってきたことは大きなトピックでしょう。栃木県は、長らく不人気県のイメージでしたが、2023年のLRT(次世代型路面電車システム)の導入など、明るい話題が多かったことも影響しているのではないでしょうか。

これからの働き方、暮らし方を考えるうえで、東京にこだわらない人も増えると感じました。

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