はじめに
先日6月24日にファッションセンター「しまむら」が決算発表を行いました。しまむらといえば、2009年に、しまむらの服を愛用する人を指す「しまらー」という言葉が、流行語大賞に選ばれるほど大旋風をおこしたアパレルです。その後も着実に売り上げは伸ばすものの、eコマースへの対応が遅れるなどで、2018年2月~2020年2月期は3期連続の減収減益となっていました。
コロナ以降はパッとしない印象
しかし、おもしろいことに、コロナ禍真っ最中の2021年、22年は、前年比で二桁の増益を記録しており、外出規制で大打撃を受けた他アパレルとは一線を画しています。これは、しまむらの店舗のつくりが、広々とゆったりしていたため、密を気にせず買い物ができこともあったのでしょう。また、遅れを取っていたeコマースへの対応を急速にすすめ、デジタル販促の強化とともに売り上げに寄与しています。
ただ、コロナ特需といってもよい派手な営業利益の伸びは、22年2月期で終え、その後は一桁の増益率でパッとしない印象です。今期2025年2月期の通期予想は、売上高6,596億円(+3.9%)、営業利益563億円(+1.9%)とかなり小幅な増益。そんな控えめな予想もあって、4月1日に新年度予想が発表された翌日の株価は、7.2%の大幅下落となりました。
画像:しまむら「2025年2月期 第1四半期決算短信〔日本基準〕(連結)」
期待値はそれほど高くない中での第1四半期決算は、①売上高164,466(百万円)②前年同期比+4.7%、③営業利益14,579(百万円)、④前年同期比+0.3%と、想定範囲内の数字です。株価上昇のきっかけになるほどの力強いインパクトは到底ありません。日本でも、じわりじわりと物価が上昇し、消費者マインドが冷え込みつつあります。洋服がバンバン売れるといった環境ではないのがつらいところです。