はじめに

年初から猛烈な勢いで上昇を続けていた日経平均株価。しかし、3月の下旬頃から下落基調に転じ、執筆時点では3万8000円前後でもみ合う展開になっています。2024年は1月から新NISA(少額投資非課税制度)がスタートし、株式投資を始める人が一気に増えました。年初から株を始め、3月半ばまでの相場急上昇の恩恵を受けた人は少なくないでしょう。

しかし、4月頃から株式投資を始めた場合、株式相場の急落によって損失を抱え、株式市場からの退場を考える人が出ている模様。今回は、そんな方々に、積立投資にしろ、目先の利益を追う短期・中期投資にしろ、株式投資で最もやってはいけないことの1つをご案内しましょう。


積立投資では目先の相場下落を気にする必要なし

新NISAの制度がスタートしてから、半年が経過しようとしています。この間、日経平均株価は年初から3月までに20%超の上昇となりました。しかし、その後は下落に転換。株式投資の用語でいう「調整局面」です。日経平均株価は3月22日の高値4万1087円から、約1カ月後の4月19日には一時3万6733円まで10.6%の下落となりました。

株式相場の歴史を振り返ると、平均株価が10%程度下落することは、常に起こり得る事象です。ただ、メディアが「日経平均がバブル時につけた最高値を更新するなど絶好調」「株をやる人が増えている」などと取り上げているのを見て、「そんなに株がいいなら、自分もやってみようじゃないか」などと考え、株式投資をスタートした人は、現状をどう感じているでしょうか。もしかしたら、「話が違う」と憤っている人もいるかもしれません。実際、SNSを覗くと、「株がすごい良いって聞いて新NISAを初めてみたけど、〇〇円くらい損してる。もう止めようかな」などといったつぶやきが散見されました。

株を初めたばかりの人にとっては、年始からの日経平均の急上昇が、半導体関連株を中心とした一部の値がさ株(株価が高い銘柄)の急騰を主因としていたことなど知る由もありません。ただ、新NISAを始めるにあたり、大人気の「世界の株式に投資するタイプの投資信託=オールカントリー(オルカン)」や、米国の株価指数S&P500種指数に投資するタイプの投資信託を「つみたてNISA」で買ったのであれば、何も問題はありません。

“オルカン”タイプの投信はオールカントリーと謳いつつ、中身は米国株が中心。資産の半分以上を米国株に投資しています。それは、世界の株式の時価総額ベースで、米国株が上位を占めていることに関係しています。日経平均と同様、S&P500も4月に入って一時下落したものの、その後は反転して再び史上最高値を更新しています。これらを投資先として選択した人は、始めたタイミングが悪くても、現状はマイナスになってはいないはずです。

そもそも「つみたてNISA」などの積立投資は、10年、20年といった「超長期」に渡って積み立てを続けることで、「実際に積み立てた金額よりも多くの資産を築き上げること」が、本来の目的です。過去を振り返ると、株式相場には5年、10年スパンでショック安が到来していますが、そのような下落局面でも積み立てを継続することで、最大限に効果を得られる手法なのです。

そのため、始めたばかりの数か月で多少の損失が発生したからといって、大騒ぎする必要はありません。目先の株価の上下を気にすることなく、長期で資産を形成できることが積立投資の最大のメリットであり、魅力でもあるからです。これから先、株式相場がどのような調整局面を迎えたとしても、「積立投資派」は粛々と積み立てを続けることが必要です。

一番やってはいけないのは、「損をしたから投資をストップする」こと。その時点で止めてしまうと、積立投資の効果を得られないだけではなく、損をしたまま、将来手に入れられる利益の芽さえ摘んでしまうことにほかなりません。

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