はじめに

超高齢社会となった日本において、住まいに関する問題が日々深刻になっています。バリアフリー問題や、路線バス廃止等による地方交通の衰退など、高齢者が快適に暮らす上での課題は山積です。

その中でも、この記事では「高齢者が賃貸物件を借りることの大変さ」をテーマに取り上げたいと思います。

もともと持ち家がある場合や、資金に余裕があり新たに住宅を購入できる環境にある場合ならば、それほど不安が生じることはないでしょう。一方、家族構成の変化等の事情で、高齢者本人が新たに住まいを探す際、賃貸物件を探すとなると大変です。

そこで、今回は「どうして高齢者は賃貸物件を借りるのが大変なのか」を見ながら、「高齢者が賃貸を借りるための選択肢や方法」について考えてみたいと思います。


高齢者が直面する賃貸物件の厳しさ

高齢者が賃貸物件を借りることは容易ではありません。貸主としては、より長く、トラブルなく住んでくれる入居者を好みます。学生、社会人、ファミリーなど、さまざまな入居者候補がいる中で、高齢者に対する印象は、

・バリアフリーが不十分で、室内でケガをしないか不安
・年金など、収入が限定的になることから、家賃滞納が生じる不安
・孤独死が起こった際の諸リスクの観点から、入居者の健康上の不安

といった、ネガティブな想像が膨らみやすくなりがちです。

そのため、定年退職を迎える60代以降は、特に入居審査が通りにくくなると言われており、貸主審査だけでなく、近年利用がメジャーになっている家賃保証会社(連帯保証人と同様に、家賃滞納等が起こった際に入居者に代わって家賃支払いを立て替えてくれる専門会社)の審査も通りにくくなる傾向にあります。高齢者の一人暮らしでの部屋探しになると、その難易度はさらに高まります。
 

空き家はあるが、住める家がない。

2024年4月30日に総務省が公表した住宅・土地統計調査によると、全国の空き家は900万戸にのぼり、過去最多となりました。総住宅数に占める空き家率も13.8%と過去最高を記録しています。その点では、「家はたくさん余っているのに、住める家はない」という、歯がゆい状況になっているとも言えます。

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