はじめに

忘れてはならない税金と社会保険の手続き

個人事業主になると、会社員のときには給与天引きされていた税金や社会保険について、すべて自分で手続きや支払いをしなければなりません。支払いが必要な税金や社会保険にはどのような種類があるのでしょうか。

①税金
(1) 所得税
所得税は個人の所得(収入から経費などを引いたもの)に対してかかる税金です。所得税は1年間のすべての所得からいろいろな所得控除を差し引いた残りの所得に税率をかけて計算します。1年間で生じた所得について、翌年2月16日から3月15日の間に確定申告をして納税します。申告を促すような案内が自宅には届かないため、申告漏れがないよう注意しましょう。

(2) 住民税
教育や福祉、消防・救急、ごみ処理など身近な行政サービスをまかなうために、地域の人たちなどが分担する税金です。住民税は住民が平等に負担する金額と前年の所得の額に応じて負担する金額の合計金額を納めます。確定申告をもとに市町村が税額を計算し、毎年6月頃に「住民税決定通知書」と「納付書」が送付されます。一括納付と4回に分けて納付する分割納付を選択できます。
  
(3) 消費税
消費税は商品やサービスの販売に対して課税される税金です。個人事業主として商品やサービスを販売して消費税を受け取った場合、消費税の納税義務者(課税事業者)は確定申告をして消費税を納付しなければなりません。基準期間内の課税売上高が1,000万円以下の場合などは免税事業者となり、消費税の納税義務が免除されます。
  
(4) 個人事業税
個人事業税とは、個人事業主が都道府県に納める税金です。所得によっては除される場合や課税対象ではない業種もあります。確定申告をすると、納付の必要がある場合、毎年8月頃に都道府県から「納税通知書」が送付されます。

②社会保険
(1) 年金
個人事業主は国民年金に加入します。保険料は1カ月当たり16,980円です(令和6年度)。国民年金保険料の納付期限は、納付対象月の翌月末日となります。また、前納(6カ⽉前納、1年前納、2年前納)すると保険料の割引があります。

(2) 国民健康保険
国民健康保険は、個人事業主が加入する公的医療保険です。国民健康保険料は収入や年齢などをもとに計算され、納付書が各自治体から送付されます。年間保険料を10回に分けて納めていきます。正確な保険料や納付時期を知りたい場合には、各自治体に確認しましょう。

キャリアチェンジの前に未来を把握しよう

Aさんは、FPから一通りの説明を受け「今の生活を維持するには、思っていた以上に売上が必要なことがよくわかりました。お金を理由にキャリアチェンジを諦めたくはないけれど、事業を続けていくためにも生活の安定は欠かせません。40歳での独立を目標に、まずは副業からスタートしてみます」とのこと。

独立し、目指すキャリアを築くためには、困難な局面もあるかもしれません。しかし、その先に望む未来が待っているのではないでしょうか。事業を継続させるためにも、まずは生活基盤を整えることが大切です。そのためには、キャリアチェンジをする前に、自分の暮らしに必要な支出・売り上げ、そして未来を知ることからはじめましょう。

【監修】伊達有希子/ファイナンシャルプランナー(CFP、1級FP技能士)

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