はじめに

7月の株式市場はまさに激動の1ヶ月でした。6月下旬から上昇基調が鮮明になった日本株相場は7月に入るとその勢いが加速し、一気に高値まで駆け上がりました。日経平均株価は7月11日に4万2224円と史上最高値をつけ、同じタイミングで東証株価指数(TOPIX)も1989年以来34年ぶりに史上最高値を更新しました。


大きな下落に見えるが、錯覚か

市場が高揚感に沸いたのもつかの間、最高値をつけた翌日から急落が始まりました。7月26日にようやく底が入りましたが、7月11日につけた高値から7月26日の安値まで4500円超も値下がりしました。その間には8日連続安を記録したり、日経平均の1日の値下がり幅が1000円を超える日が2日もあったりと、非常に激しい値下がりを演じました。

7月25日の急落では日経平均は前日比1285円安と2024年最大の下落幅を記録しました。また、それに先立つ7月12日にも1033円安を記録しています。2000年以降で日経平均の下落幅が1000円を超えたのは13回ありますが、7月25日の下げはそのうちワースト3位、12日の下げはワースト10位と、わずか1ヶ月のうちに歴代10位に入る下げ幅を2回も記録したことになります。

これだけ大きな下落を目の当たりにすると、新NISAのスタートを契機に投資を始めたような経験の浅い人は「相場は怖い」と思ってしまうかもしれません。しかし、そこには錯覚があります。確かに下落「幅」は大きいですが下落「率」ではそれほどでもありません。7月25日の日経平均1285円安は下落幅ではワースト3位ですが、下落率は3%程度で2000年以降のワースト100位です。

日経平均が4万円だとすると、1000円の値幅は2.5%に当たります。2000年以降で一日の値幅が2.5%超動いた日は792日あり、それは全体の13%に相当します。この確率を当てはめれば、月に2.6回は2.5%超の値動きがあることになります。

実際に、今週のはじめ、日経平均は大幅に反発しましたが、上げ幅は一時、前日比で1000円を超える場面がありました。1000円を超える下落もあれば、1000円を超える上昇もあります。日経平均4万円時代を迎えた今は、月に2、3回、1000円の値幅で株価が動くことは、珍しいことではないのです。株価の絶対水準が高くなったのだから、値幅が大きく出るのは当たり前のことなのです。経験の浅い人に向けたアドバイスとしては、見た目の振れ幅の大きさに惑わされずに、ぜひ「率」で相場変動を捉えるようにしてほしいと思います。

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