はじめに
「推し」という言葉が世の中に広まっています。アニメや漫画、ゲームのキャラクターや、アイドル、有名人など好きな人物を応援する活動のことを「推し活」 といいます。
株式投資の世界でも、有名な経済学者であるケインズが、株式投資を新聞投票で美人を選ぶ方法にたとえた「株式投資は美人投票」と言う言葉があります。この言葉自体は令和の考え方にはフィットしない“ルッキズム”と言えるかもしれませんが、人気のあるところに投資のチャンスがあると考えると、年々大きくなる推し活の経済効果は投資をする上で着目しても良いのではと思います。しかも、企業に投資をすることが推しの応援にもつながるかもしれませんし、投資の入り口になるかもしれません。
今回はSnow Manに注目
今ホットな推しは何(誰)なのか、エンターテインメント業界のデータを活用したデジタルマーケティングサービスを提供する「GEM Partners」が設立した「推しエンタメブランド・アワード」を参考にさせていただきます。評価は「推しファン人数」「支出金額」「接触日数」を総合した「GEM指数」という指標で数値化して集計結果をランキング化しているとのことです。気になる2023年のGEM指数が最も高かったダイヤモンド賞に輝いたのはアイドルグループのSnow Man。ファンの支出金額が多いこともポイントだったよう。2位は鬼滅の刃、3位はYouTubeでした。
今回は1位のSnow Manを例に、推しから調べる投資銘柄について考察していこうと思います。
まずSnowManについて。STARTO ENTERTAINMENTの9人の男性アイドルグループ。2012年に結成し、元々は6人組。先輩のバックダンサー時代が長く、ダンスの評価は高かったものの、デビューまで長く時間がかかった苦労人の面も。新メンバーの3人が加入して9人組で2020年1月22日にCDデビュー、昨年は全国ドームツアーを開催。7月31日発売の最新シングル「BREAKOUT / 君は僕のもの」は発売初日(店着日)の30日に83.4万枚を売り上げ。2024年7月30日付「オリコンデイリーシングルランキング」で1位を獲得しています。
メンバー個人の活動も活発で、それぞれの個性を武器にドラマや映画、バラエティ出演、CMや雑誌の表紙などでよく目にしますね。
不二家の株価は右肩上がり
Snow Manの経済効果として業績の面でまず挙げられるのが2020年9月にブランドキャラクターに就任した不二家(2211)。ハッシュタグが5週連続でTwitter(現X)でトレンド1位になるなどSNSの波及効果もあり、新たなターゲットの10代後半から30代の女性の顧客獲得に寄与。21年に不二家単体での黒字化に成功、冠番組の『それSnow Manにやらせて下さい』放送枠に毎週CM流している様子を見ても業績に寄与し続けている模様です。スポンサーである冠ラジオ番組で同社の商品を紹介したり、メンバーが差し入れでも不二家のスイーツを使用するなど蜜月が続いているといえます。不二家の株価は2020年9月から見ると右肩上がりです。
賃貸仲介「アパマンショップ」をフランチャイズ展開するAPAMAN(株)(8889)や「モスバーガー」を展開する(株)モスフードサービス(8153)もメンバーを起用した際に業績が向上した実績があります。
アサヒグループホールディングス(株)(2502)のアサヒグループ食品の商品であるミンティアもSnow Man起用効果で売上が上がったようですが、ジャニーズ問題でCMから降板した際に不買運動が行われたことも報じられました。SNSでも炎上するなど、良くも悪くも影響がある、という面もあるようです。