はじめに

突然ですがクイズです。
ケンタッキーフライドチキン、お茶漬けの永谷園、イタリア料理チェーン店のサイゼリヤ、化粧品やサプリメントを扱うファンケル、これらに共通する事がありますが、それはなんでしょうか。ヒントは株です。…そう、株主優待制度の廃止を決定した企業です。


上場廃止の2社

ケンタッキーフライドチキンを展開する日本KFCホールディングス(9873)は今年5月にアメリカの投資ファンド『カーライル・グループ』による普通株式に対する公開買付け(TOB)が成立することを条件に、株主優待制度を廃止することを決定しました。9月中に上場廃止になる予定です。

これまでは100~299株の保有で年に2回、500円分(3年以上の保有で1,000円分)の優待券を贈呈していました。300~499株の保有で1,500円分(3年以上で3,000円分)、500~999株の保有で2,500円分(3年以上で5,000円分)、1000株以上の保有で5,000円分(3年以上で1万円分)の優待券が贈呈されていました。

永谷園ホールディングス(2899)は丸の内キャピタル(東京・千代田)と実施したMBO(自社買収)が成立し、9月下旬の臨時株主総会を経て上場廃止となる見通しです。これまでは100株以上の保有で1,000円相当の自社商品(ふりかけ、お茶漬けのもと、インスタント味噌汁など)を進呈していました。

“公平な株主還元”を目指す

サイゼリヤ(7581)は7月10日、「株主の皆様への公平な利益還元のあり方という観点から、(中略)配当による利益還元に集約することが適切であると判断し、株主優待制度を廃止することといたしました」と発表しました。これまでは100株以上の保有で2,000円分の食事券、500株以上の保有で10,000円分、1000株以上の保有で2万円分の内容でした。

買収により子会社化

ファンケル(4921)はキリンホールディングス(2503)に買収される事が決まり、TOB(株式公開買付け)が実施され完全子会社化される方針と発表しました。7月末現在ファンケル株を巡っては、香港の投資ファンド、エムワイ・アルファ・マネジメントが買い増す動きもあり、キリンHDによるTOBが始まって以降、エムワイはTOB価格を上回る水準で株式を取得しています。

19日に提出された変更報告書ではファンケル株7.94%を保有していて、今後の動向が気になります。これまでファンケルは100株以上200株未満で3,000円相当の自社製品など、200株以上で6,000円相当の自社製品などを進呈していました(ともに6カ月以上の継続保有が条件)。

ケンタッキーフライドチキン、永谷園、サイゼリヤは日本では馴染み深い企業だけに長年、優待を楽しみにしていた株主にとっては残念な気持ちが強いかもしれません。サイゼリヤは優待廃止と共に2024年8月期(今期)の配当を従来予想の18円から7円増の25円にすると発表しました。7月10日の発表以降、株価は一旦急落しましたが現在は堅調に推移しています。

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