はじめに

今月、日経平均株価が乱高下し、投資家の間で不安が広がりました。今回の暴落は過去の日経平均の下落、値幅のワースト5の1位と3位にランクインしました。

1位 2024年8月5日 4451円28銭安の3万1458円42銭 12.4%安
2位 1987年10月20日 3836円48銭安の2万1910円08銭 14.9%安
3位 2024年8月2日 2216円63銭安の3万5909円70銭 5.81%安
4位 1990年4月2日 1978円38銭安の2万8002円07銭 6.6%安
5位 1990年2月26日 1569円10銭安の3万3321円87銭 4.5%安

2位はブラックマンデー、4・5位は日本のバブル崩壊の際の値幅です。このような急激な市場の動きに対しては、冷静に対処することが求められます。歴史的に見ても、金融市場には不定期に暴落が起きており、それぞれになにかしらのきっかけがありました。今回は20世紀以降の主要な相場の暴落について振り返ります。


20世紀以降の7つの大暴落

20世紀以降の有名な相場の暴落は以下となります。

【1】1929年 ウォール街大暴落(世界恐慌)
【2】1973年・1979年 オイルショック
【3】1987年 ブラックマンデー
【4】1990年 日本のバブル崩壊
【5】2000年  ITバブル崩壊
【6】2008年 リーマン・ショック
【7】2020年 コロナショック

1929年 ウォール街大暴落(世界恐慌)

1929年10月28・29日は「暗黒の月曜日」「暗黒の火曜日」と呼ばれ、2日連続で10%を超える大幅な下落を記録しました。それまで好景気で多くの投資家が株式市場に参入していましたが、強気なマインドで過度な借金によるレバレッジが広がり、本来の経済状況から乖離して株価は実態以上に高騰していました。その結果突如として株価が暴落し、金融危機が引き起こされました。経済恐慌は金融危機につながり銀行の破綻や多数の失業者を出すこととなり、世界的な不況を招き、「世界恐慌」として歴史に残る大惨事となりました。

1973年・1979年 オイルショック

“トイレットペーパーの品切れ”という象徴的な出来事でオイルショックを知る方も多いのではないでしょうか。1973年に起きた第一次オイルショックは原油価格を産油国が急激に引き上げたことを受けてインフレが発生し、インフレをストップするために金融引き締めを行ったことが景気の悪化を招きました。

1979年に起きた第二次オイルショックは、1979年2月のイラン革命が引き金となり、さらに翌年1980年9月のイラン・イラク戦争による供給不安が重なり、再び原油価格が急騰しました。資源やエネルギー市場の動向が経済全体に与える影響の大きさが顕著に現れた暴落だったと言えるでしょう。

1987年 ブラックマンデー

1987年10月19日は、アメリカのダウ平均が一日で22.6%も下落するという、史上最大の下落率を記録しました。暴落の原因は、当時のアルゴリズム取引やコンピュータプログラムによる大量の自動売買が引き金とも言われています。当時、コンピュータによるプログラム取引が広く使われており、これらのプログラムは、特定の条件が満たされると自動的に大量の株式を売却するもので、株価が下がり始めた際に一斉に売り注文が出され、さらに株価が下がるという悪循環を引き起こしたとされています。テクノロジーの進化による市場の過剰反応が引き起こしたといえます。

また米国が財政赤字と貿易赤字の「双子の赤字」を抱えていてドル安やそれに伴うインフレ懸念も重なっていたことも挙げられます。

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